0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「鯉のいる村」

 神山征二郎「鯉のいる村」再見、

 鯉の村として有名な村に、ある時東京から母と小さな娘がその村の実家に帰ってくる。

 母は兄のところへ色々ゴタゴタした事情から帰ってきたのだが、娘を実家に預けて東京へ帰り、その間家の息子が娘の面倒を見るようになる。

 ある時、その息子と娘は駄鯉扱いされた鯉をクロと名ずけて育てるようになるが、村の目利きたちはその鯉はかなり価値のあるものかもしれないと徐々に言い出す。




 

 かって子供の頃、公民館で見た児童映画で神山征二郎の監督デビュー作。

 村の鯉の飼育の様子を描いているが、メインは少年と小さな少女がクロという駄鯉扱いされた天ぷら(駄鯉なので天ぷらにして食べられてしまう為そう呼ばれる)を育てる話がメインである。

 しかし最後、東京に村に何の未練もなく帰ってしまう少女に対して寂しい気持ちになる少年の姿は、山田洋次が脚本を書いた「蜂の子」そっくりだったりする。

 その後少年が育てたクロはやはり最高級の価値をつけられる鯉に成長し、河原崎次郎の鯉作りの名人から少年は、この鯉が誰のものになろうと、お前が天ぷらになりそうなところを救って育てたことはクロが一番知っていると励まされる。

 子供の一途な気持ちがよく描かれている映画である。

 子供同士が楽しく遊んでいる姿も中々微笑ましいが、それだけでなく、誰もが見捨てていた鯉を育てる少年の誠実さがよく出ている。

 村の景色も長閑に描かれているが、ちゃんと芯の通った佳作な一篇。


鯉のいる村 (新日本創作少年少女文学)鯉のいる村 (新日本創作少年少女文学)
(1969/12/20)
岩崎 京子

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2012/12/22(土) 15:41:45 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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