0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「邪魔者は消せ」

 
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(2012/02/01)
赤木圭一郎、清水まゆみ 他

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 牛原陽一「邪魔者は消せ」再見、

 日本に海外の麻薬王がやってきたため、葉山良二ら刑事たちはその麻薬輸入ルートを掴もうとするが、麻薬王と連絡をとった待田京介は刑事の目前で射殺される。

 運輸会社社長・金子信雄は麻薬王と取引している売人の元締めだったが、待田を射殺したのは金子の部下だった。
 
 その後、高品格らの新興ヤクザの幹部と金子の組織の麻薬取引の要員・赤木圭一郎が揉め、両組織は対立することになるが、当局の目がさらに光りだしたので、麻薬取引は困難になっていく。

 金子は拳銃の名手である用心棒・穂積隆信と赤木を取引きに使おうと思い二人の腕を試す。




 

 赤木圭一郎主演の暗黒街ノワール調の日活アクション映画。

 熊井啓の脚本が中々秀逸で、最初トニーはまるっきりチンピラチックな麻薬取引要員のように描かれ、映画自体、悪党ばかり出てくるノワール調で描かれていくが、途中から赤木の正体が見え出し、徐々に日活活劇らしい犯罪サスペンスになっていく。

 随所に細かなアイデアが散りばめられていて、一見ありがちなトニー主演の日活アクションの定番映画のように思われているかもしれないが、その構成と展開のさせ方は中々凝っている。

 途中からどこかスパイ映画のような様相となるが、そこも中々悪くない。

 トニーも途中までチンピラ風の悪漢を好演していて、それと後に「積木くずし」で有名になり、未だその後を語っている穂積隆信が準主役的役どころを好演しており、その猜疑心の強そうな神経質な個性が役に合っていて、それがこの犯罪映画にリアリティを与えている。

 その意味ではこれは若き日の穂積隆信の代表作の一本とも言える作品だろう。

 最後まで麻薬の代わりに爆弾が仕掛けられていたり、それがすり替わったりと、飽きさせない展開が盛り込まれていて、内田良平も悪役をクールに好演している。

 それにタイトルの「邪魔者は消せ」とは犯罪組織が用済みの人間を消すという意味だけでなく、正義感に満ちた言葉でもあるという捉え方がなされているところも面白い。

 一見トニー主演の映画ではないような犯罪ノワール映画風に見えて、最終的にちゃんとトニー主演の日活アクションになっていく展開は、よくある定番日活アクションとは違う異色さであり、熊井啓の凝った脚本が割とうまく映画化されている佳作な一篇。





 
2012/12/16(日) 14:08:06 日活 トラックバック:0 コメント(-)

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