0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 小沢昭一

 
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俳優の小沢昭一さんが亡くなった。

 今では一万回を超えた長寿ラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」が一番知名度高く、長い間お元気に活躍されていたが、元々は日本映画を支えた名バイプレイヤーで、主に日活映画を中心にその名演を見せていた。

 キャラ的に川島雄三や今村昌平の映画には似合うので「にあんちゃん」や「豚と軍艦」に「西銀座駅前」、「果しなき欲望」「にっぽん昆虫記」や、「幕末太陽傳」や「しとやかな獣」「洲崎パラダイス 赤信号」「わが町」「あした来る人」「愛のお荷物」「貸間あり」他などなどに出ていたが、それ以外にも多くのプログラムピクチャーで実にいい味を出していた。

 先日書いた「どじょっこの歌」でも一人行方をくらました浅丘ルリ子と同じボロアパートに住むキャバレーのバンドマン役を演じていて、浅丘に恋心があるのでキャバレーで歌うためのレッスンをしているが、ちょっと悪い奴なのかただの気のいい奴なのかわからない微妙な役どころを好演していた。

 鈴木清順の初期作にもよく出ており、「無鉄砲大将」や「けものの眠り」、「東京騎士隊」「密航0ライン」や「13号待避線より その護送車を狙え」「青い乳房」「春婦伝」などなどにも出て癖のある個性を出していたが、「“エロ事師たち”より 人類学入門」や「競輪上人行状記」や「英語に弱い男 東は東西は西」「“経営学入門”より ネオン太平記」などでは、主演であり、また題材自体が小沢氏の個性によく合っているのもあって、その癖のある個性はさらに発揮されていた。

 その他早すぎた日活「パルプフィクション」のような「拳銃0号」や、「喜劇 女の泣きどころ」、「喜劇 爬虫類」でも小沢氏らしい味わいを見せていた。

 「紙芝居昭和史 黄金バットがやって来る」の終わっていく紙芝居文化にしがみついている姿などにも人間臭いいい味わいがあった。

 その他「網走番外地」や「二連銃の鉄」「早射ち犬」や「鉄砲犬」「銀座旋風児 目撃者は彼奴だ」「紅の拳銃」他などなどのアクションスター役者と共演した作品や、「六三制愚連隊」、寺山修司の「ボクサー」、「黒木太郎の愛と冒険」、深作欣二の「脅迫 おどし」「散歩する霊柩車」「くノ一忍法」「痴人の愛」「スクラップ集団」「馬鹿が戦車でやって来る」他などでも好演していた。

 小沢さんが映画に脇で出てくると急に映画が人間臭く生っぽくなる感じがいつもしたものだった。

 親近感が湧くといえばそうだが、それにしては随分奇妙な役やいかがわしい役どころも多かったのだが、それでも小沢さんが演じている男の感じにその映画の生の現実的なリアルさがいつも感じられた。

 そういう意味では映画を地に足の着いたリアルなものにすることに貢献していた名優だったと思う。

 小沢昭一さん、ご冥福をお祈り致します。




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2012/12/12(水) 14:00:25 日活 トラックバック:0 コメント(-)

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