0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「七人の兄いもうと」

 佐伯幸三「七人の兄いもうと」、

 潮万太郎は70を過ぎ家の家長を娘夫婦に譲り、自分は絵を描いて悠々自適の生活をしていた。

 この家には若尾文子の女中がいたが、潮は若尾をいたく気に入っており、息子の船越英二と若尾がいい仲になったことを知ると、周りの者が女中とその家の息子の関係を訝しむ中交際に賛成し、それもあって二人は結婚する。

 潮には過去に悲しい恋愛があり、実はまだ他に孫がいたのだが、それがどこにいるかわからなかった。

 その後若尾は、船越と結婚後急に正妻の立場になったため戸惑い、それがもとで夫婦は空中分解寸前になっていく。



  

 源氏鶏太の原作を映画化した作品。

 クレジットでは若尾文子主演になっているが、実質的には源氏の原作タイトルが「七人の孫」とあるように潮万太郎の老人がメインであり、この映画の実質主役は潮であろう。

 しかし途中は結婚した船越と若尾の夫婦の不和とすれちがいが中心に描かれていく。

 若尾はここでは謙虚で貞淑な妻だが、元々女中時代にその家のお坊ちゃんとして船越に接していたのもあって、なかなか正妻としてのあり方がわからず、遠慮しすぎてかえって船越に引かれてしまう。

 潮らはその不和を何とかしようとするが、潮にはもう一人のまだ見ぬ孫探しという課題があり、最終的には若尾船越夫婦の仲直りと共に潮の隠れた孫もみつかり、円満かつ明朗に映画は終わっていく。

 若尾文子はそれほど強烈な役をやっていないので地味な感じだが、やはり実質主役の老けメイクの潮万太郎は一番目立っている。

 根上淳もいい味を出しているが、全体的にまったりした家庭喜劇で滋味な感じの映画である。

 展開は多少蛇行するがそうメリハリがある感じはせず、明朗な感じがずっと持続しているさっぱりした一篇。


七人の孫 (1968年) (Tokyo books)七人の孫 (1968年) (Tokyo books)
(1968)
源氏 鶏太

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潮万太郎出演
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特撮(映像)

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2012/12/09(日) 14:04:29 大映 トラックバック:0 コメント(-)

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