0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター」

 
ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター [DVD]ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター [DVD]
(2012/07/03)
黒木瞳、木村多江 他

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 星田良子「ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター」、

 黒木瞳は主婦だが西村雅彦の旦那の仕事がうまく行かず、娘は引きこもりだった。

 ある時検診で昔の後輩の木村多江に再会するが、こちらも随分キャラは変わっていたが、男に騙されたりして問題だらけだった。

 その後黒木はコンビニでバイトを始めるがそこで山崎静代が万引きするのを目撃し、知り合いになる。

 店にはモロ女ロッカー風の真矢みきも客として訪れていたが、黒木はある時バンドを作って「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を演奏したくなり木村や山崎や真矢に声をかける。

 しかしそれぞれ全員問題を抱えているがゆえに途中で諍いが起きてバンドは空中分解してしまう。





 五十嵐貴久の原作を映画化した問題だらけの崖っぷち中年女たちのバンド映画。

 この手の題材はやり尽くされたところがあり、女子高生から中年男に至るまで問題抱えた連中がバンド演奏で何かをふっ切るという展開はまあ同じである。

 しかしそれぞれの崖っぷち中年女の抱える問題部分の描き方が中々いいので、わりといい味わいの映画になっている。

 確かにテレビドラマ的なサントラの流し方や映画というよりドラマっぽい端的な感じは否めないのだが、それでも黒木瞳が気の利く優等生な主婦故に問題を抱えていたり、木村の侘びしい人生の描写なども中々いいし、真矢みきなどロッカースタイルが実に似合い、今までで一番の適役を演じていたりする。

 その真矢とて夫が鬱病で最後の学園祭コンサートの晴れ舞台ではバンドの指導者だったのに一番尻込みしてしまう事情を抱えていたりする。

 そして逃げ出した真矢を連れ戻しに来た黒木とのやり取りにも妙にリアルなエモーションが感じられ中々良かったりする。

 最終的にはまあありがちなハッピーエンドを迎えてベタにまとまって終わっていくものの、妙に生々しいエモーションが感じられる映画である。

 やたらとわかったようなロッカー映画ではなく、真矢以外はロックとは無縁だった中年女たちが自分たちの崖っぷちの痛々しい人生の発露としてスモーク・オン・ザ・ウォーターを選ばざるを得なかったことに必然性すら感じられ、その辺りに意外と無理がないところが出色である。

 さっぱり期待してなかった映画だが意外と佳作な一篇。

2012/11/27(火) 13:41:34 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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