0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「南国太平記」

 並木鏡太郎「南国太平記」、

 倒幕をもくろむ島津成彬の一派は、それに対抗する成彬の父の一派と対立していた。

 ある時黒川弥太郎は町で巾着切りをやってもめるが、そのことから父は暇を出されお家は取り潰しに近い状態となる。

 黒川は父と仇を討とうとするが、父は死に自分もどこかへ消えてしまう。

 その頃大河内伝次郎は成彬の側の侍だが、王政復古のため暗躍していた。



 

 直木三十五の原作を映画化した、倒幕の話と武家一族の確執を描いた時代劇映画。

 大河内は東宝入社初主演作で二役を演じているが、黒川弥太郎の話と大河内の話がクロスしているものの、途中までどっちがメインかはっきりしない展開である。

 はなからクレジットで島津家の内乱の話は語られているが、その後もあまりドラマチックには盛り上がらず、いろんな事態が巻き起こるものの、それが妙にメリハリのない感じで描かれている。

 大河内に見せ場はあるが、そもそも殺陣のシーンすら引きの画ばかりで撮っているので迫力がなく、どうもイマイチ焦点の絞り込めていない出来である。

 ここは盛り上げて描くところだろと思うと妙に魅力なく省略されて話が進み、この挿話をそこまで描くのかということがわりと長めに描かれているように見える。

 それが異色な味わいを生んでいれば個性的な秀作にもなったろうに、どうもそうはならないチグハグさばかりを感じさせる。

 無理して外して撮っている感も別にない。

 最後もいきなり島津成彬が死んでしまい、家来らが自分たちの決意を急に大きく言い出して最後だけ無理に盛り上がった感じで(苦笑)終わっていく。

 珍妙な映画ではなく真面目な映画な方だが、どうにもうまい出来とはとても言い難い一篇。


南国太平記南国太平記
(2012/10/04)
直木 三十五

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2012/11/18(日) 14:02:53 東宝 トラックバック:0 コメント(-)

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