0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「温泉宿一発二日 艶子の湯」

吉田剛也「温泉宿一発二日 艶子の湯」再見、

温泉女将の穂花(現・下村愛)は、旅館にやって来た客のなかみつせいじが自分をやたらチラ見する姿が気になるが、実はなかみつは穂花が死んだ妻そっくりだったので気にしており、それを知って穂花は何かなかみつの役に立ちたいと思う。

その同じ頃、旅館にカメラマンの男が客としてやって来るが、それは穂花の夫にそっくりで、逆に今度は夫と離れ離れで寂しい穂花がカメラマンを気にしだす。





岬ゆきひろ、柏原玲の原作コミックを映像化した作品。

この時期、穂花はAV界にかなり嫌気がさしていたようで、女優としてちゃんと頑張ろうと思っていたらしいのだが、だからか、この温泉女将役の穂花はとても見事な好演を見せている。

思いやり溢れる、ちょっと寂しげな女将役に穂花は実にピッタリで、その温もりある存在感は、絡みのシーンにまで豊かな人情味を溢れさせるほどで、作品自体わりとよく出来ている。

梨元勝が番頭役で脇をきっちり締める好演を見せている上、この手のコミカルな人情ものが得意な大根仁監督の深夜ドラマを少し彷彿とさせるほど、監督の吉田剛也は中々秀逸かつ情緒豊かなコミカル人情ドラマにまとめている。

まあ穂花がハマり役を演じているというのが一番の要になっている気もするが、無理やりな泣かせ演出や情緒演出をせず、あくまでコミカルに淡々と描きながら、その狭間に思いやり溢れる人情味と情緒が温かく感じられる作品になっているところが良い。

コミックの映像化という点では、わりと成功した作品と言えるだろうし、温泉地のまったり、ゆったりしたムードもよく出ている、中々に佳作な一篇。 2016/11/29(火) 00:53:24 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)
次のページ