0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 川崎敬三




川崎敬三氏が今年の七月に亡くなっていたらしい。

「アフタヌーンショー」の司会が有名だが、やはり1950〜60年代の主に大映における二枚目半的で癖のあるスター俳優時代が、本来役者である川崎氏が一番輝いていた時代だった気がする。

ここでも川崎さんが熱演した幾つかの映画作品について書いているが、70年代半ばに「アフタヌーンショー」の司会を始められた頃は俳優とは一線を画すぐらいの覚悟があったそうで、だからかその後、司会の仕事が一段落し終焉を迎えた90年代に入っても、一度線を引いた役者の仕事に戻らなかったのではないかとも言われている。

軽い喜劇の「恋の野球拳 こういう具合にしやしゃんせ」、 山本富士子の「夜の河 」「夜の蝶」、「処刑の部屋 」、「満員電車」、「青空娘」、「真昼の対決 」、映画自体深みのあるサスペンスの傑作だった「氷壁」、意味不明な中村君つながりが描かれた珍作「 おーい中村君」、「 氾濫」 、「美貌に罪あり」、三島由紀夫主演「からっ風野郎」、「五人の突撃隊」、「 総会屋錦城 勝負師とその娘」、「宇宙人東京に現わる」、「 痴人の愛」、「 閉店時間 」、「 黒の札束 」、「「女の小箱」より 夫が見た 」、「ケメ子の唄」、「あなた好みの」他などなどでの好演がやはり印象深いが、「誘拐」ではちょっとした怪演だったと思う。

その他「すれすれ」での怪しい遊び人役のヘラヘラ感は川崎氏の個性によく合っていたし、「しゃぼん玉親爺」の潮万太郎の戦友にして恩人役、「渇き」の山本富士子の若い学生の不倫相手役、溝口健二の「浪花悲歌」を団令子主演で作り直した「ある大阪の女」の団のOL時代の彼氏役や、「恐山の女」の吉村実子の疑惑を晴らそうとして、逆に吉村に溺れて疑惑をさらに深めてしまう皮肉な悲劇を生きた男の役、「スーダラ節 わかっちゃいるけどやめられねえ」の若いサラリーマン役や、「わたしを深く埋めて」の田宮二郎の友人役などなどでも川崎氏独特の個性をよく出して好演していた。

得意とする二枚目半の気の弱い男やいかがわしい男、遊び人風な男や、弱さをどこかに抱えた実直な男の役などを人間臭くも個性豊かに演じられていたが、やはりある時代の日本映画自体を支えていた方だったと思う。

なんとも「味のある名優」という言い方が実に似合う方だった。

川崎敬三さん、ご冥福をお祈り致します。







2015/11/28(土) 00:16:39 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)
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