0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「アメリカン・スナイパー」




クリント・イーストウッド「アメリカン・スナイパー」、

クリス・カイル=ブラッドリー・クーパーは愛国心に燃えネイビーシールズ隊員となり、見事な狙撃の腕で仲間を救いレジェンドと呼ばれる。

だがイラクに派遣されるうちに、家庭では良き夫、父であるカイルは徐々に戦場と家庭の狭間で精神を病み始める。




実在の狙撃手・クリス・カイルの手記を映画化した作品。

戦場と家庭の間で煩悶し精神を病むところから「ハート・ロッカー」や「ミュンヘン」を思い出させる。

カイルや妻の様々な葛藤や煩悶、不安などが描いているが、活劇映画として描きながらヒューマンドラマとしてギリギリの精神の緊張を同時に描き得ているところが一番秀逸である。

カイルは自分と同じく戦争でPTSDになった元海兵隊員に殺されたがそういう実話を聞くとやりきれない。

カイルが勇敢な英雄であり人も殺すが家庭では優しき男なところなどから、イーストウッドは映画に出ていないものの、このカイルと活劇スター・イーストウッドが重なり、イーストウッドは自身を語るようにカイルを描いているように見える。

そういう他人事ではない主観と冷静な戦争への客観視が同居する意味深い傑作な一篇。 2015/02/28(土) 00:27:54 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)
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