0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「はさみ」

 
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(2012/08/10)
池脇千鶴、竹下景子 他

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 光石冨士朗「はさみ」、

 池脇千鶴は理容学校の教師だが、生徒たちには色々問題を抱えている者もいた。

 ある少年は人とのコミニュケーションが取れないことに悩んでいたが、池脇は体験入店的に理容店で少年を働かせて人に馴れさせるようにする。

 最初はうまくいかなかったが、徐々に少年は人の和に入れるようになっていくが、その頃他の女の生徒は理容師になることに疑問を抱き、才能のある彼氏がそれでも社会に不満だらけでうまくいかない現実を見て不安になる。

 だが見た目はデブで不細工だが理容の腕をちゃんと磨いている同級生と仲良くなり前向きになるが、彼氏が問題を起こしてまたやる気がなくなってしまう。

 池脇はそれを必死でなんとかしようとする。



 

 理容学校を舞台にした教育映画のような映画。

 しかしかっての東映教育映画の秀作を思わせる真面目さと光石冨士朗らしい情緒豊かなタッチが混ざり合った中々に味のある映画になっている。

 コミュニケーションが取れない少年の家庭と職場、学校での葛藤を丁寧に品のいい演出力で見せていて、映画自体は生徒たちの生々しくもつらい現実を描いているのに、この描写の秀逸さゆえにとても品格のある映画になっている。

 教育映画的意味合いもあるからか、多少そういう展開にお話が流れがちなところもあるが、それでもぞれぞれに葛藤する理容学校の生徒たちの儚いけど微かに繋がっていく友情や、どうにもならない家庭環境からくる暗転、成長しようともがく姿などなどを生々しくもメロウに捉えていて、光石節がよく出ている映画になっている。

 先生側の竹下景子も好演しているし(この人結構色んなキャラを演じ分けられる芸達者だと思う)、生徒をなんとかしようと葛藤する池脇も好演している。

 教育映画的相貌の映画だが、光石映画らしい味わいがよく出ている、品格ある秀作な一篇。
2012/11/30(金) 13:35:54 その他 トラックバック:0 コメント(-)
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