0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「レオナルドの日記」

 ヤン・シュヴァンクマイエル「レオナルドの日記」、

 レオナルド・ダ・ヴィンチのデッサンや図面をアニメーションとして動かしまくり、それに合わせて、ボクサーの動き、人々の暴動の動き、崩れるビルや餌を食らう豚、回転しまくるモデルや食べ物を咀嚼する人間の喉の動き、割られていくスイカなどなど様々な動きの様態が挿入されて、これら数秒の映像やニュースフィルムがコラージュされていく作品。

 ダ・ヴィンチの絵にはアクション的な自然な活劇的瞬間があり、それを実写のアクションの現場そのものの運動感に満ちたコラージュ的映像と重ねて、絵画と映像の運動的連携を試みようとしているように見える。

 だから一見セリフもお話もない、ただのイメージフイルムのようで、じっくりと映像のアクションと絵画のアクション性が重なって、それらが同時に「映画のアクション」として全体的に醸成していく作品になっているところがある。

 いわばシュヴァンクマイエルは絵画や映像の活劇性が、総合芸術としての映画の活劇性に転じていくその過程の生々しさを描いているようで、そういう意味では映画の本質を突いている野心的な一篇。


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  2012/07/31(火) 14:08:17 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)
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