0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「三十三の足跡」

 松田定次「三十三の足跡」、

 ある時レビュー劇団で幽霊騒ぎが起こる。

 この劇団ではかって経営者一族の子息が恋愛沙汰で死んでおり、その後自殺事件が起こって経営が変わっていた。

 幽霊は自分の恋愛を認めなかった子息の怨霊だと言われていたが、多羅尾伴内=片岡千恵蔵は次々の起こる殺人絡みなどの事件に、扮装しては捜査に当たり、犯人を突き止める。



 


 片岡千恵蔵の多羅尾伴内シリーズの一作。

 モノクロ画像だが、それを陰影に富んだ映像で撮っているのでわりとミステリ映画らしい感じはよく出ている。

 謎が終盤まで山積していくところは面白いのだが、犯人に意外性が全くなく、かなりあっさり終わってしまうところが残念と言えば残念である。

 ブギウギの曲によるレビューの練習シーンはわりとコミカルだが、それ以外は一応シリアスに描かれている。

 片岡千恵蔵の多羅尾伴内はどんだけ扮装しようがバレバレであるが(苦笑)やはりお約束で誰も正体に気がつかないようになっている。

 だが途中で月形竜之介の演出家が片岡の捜査を予め知っていたことを匂わす台詞を言うところがわりといい。

 月形は警察と片岡に捜査を依頼している張本人なわけだが、そのための途中の真相を黙した態度が中々いいのである。

 最後に片岡は藤村大造としての正体明かしのパフォーマンスもせずに去っていき、最後の最後もあっさり終わってしまうミステリ映画の一篇。


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片岡千恵蔵 喜多川千鶴

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2011/10/31(月) 13:53:39 東映 トラックバック:0 コメント(-)
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