0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「ドライ夫人と亭主関白」

 近江俊郎「ドライ夫人と亭主関白」再見、

 高島忠夫はモデルの前田通子と、坊屋三郎は宮城千賀子と結婚していたが、男二人には仕事がなく妻の方が威張っていた。

 坊屋は酔っ払って妻に暴言を吐くと、妻にプロレス並みに投げ飛ばされ蹴られしてひどい暴行を受けていた。

 ある時元々は田舎の金持ちのボンボンである坊屋のところへかっての使用人がやって来て、親が死んだのでその遺産はすべて坊屋のものだと伝えに来るが、それで気が大きくなった坊屋らはクラブへ飲みに行くも、前田を狙ったチンピラたちに襲われる。

 しかしそれを坊屋の軍隊時代の上官を名乗る男が助けてくれるが、その男は実は詐欺師であり泥棒だった。

 ただこの泥棒男のハッタリのおかげで、高島忠夫は古賀政男の前で歌を歌い、才能を認められる。



 

 近江俊郎製作・原作・脚本・監督による、高島忠夫の坊ちゃんシリーズとはまた違った皮肉なスラップスティック喜劇映画。

 亭主関白どころか、冒頭から夫らは主夫をやっていて、肉食系で逞しい妻が働き威張っているという設定が何とも今風だが、坊屋は途中酔って宮城の妻にうっぷんを晴らしたがために、拷問に近いバイオレンスを受ける。

 ほとんど鬼嫁と草食系夫というか、まるでSM拷問シーンのような描写になっているが、コミカルに見せていていかにも近未来諷刺なドタバタ喜劇映画的である。

前田通子もモデル役にはピッタリだが、必要以上に長い脚や胸などのその恵まれた肢体を強調して撮られていて、この辺はいかにも新東宝系らしい感じである。(苦笑)

窮地を救ってくれたかっての上官を名乗る男が実は今で言うドーム球場を作る資金集めを騙る詐欺師&泥棒だったりするも、その男のおかげで高島が人気歌手になったり、田舎の地蔵の下に坊屋の家伝来の小判が眠っていたりとテンコ盛りな展開で、古賀政男ご本人まで出演しこの映画の音楽も担当しているが、最終的には大金持ちで会社社長になった坊屋と人気歌手になった高島に妻たちは愛想よくなり、まあタイトル通りになってハッピーエンドだが、結局妻たちは金に目がくらんだだけだろという皮肉な終わり方ではある。

 当時としては近未来的な発想を飛ばした映画だろうが、わりとアイデアが色々出てくるので飽きさせずに見せる映画になっている一篇。


新東宝映画傑作選 ドライ夫人と亭主関白 [DVD]新東宝映画傑作選 ドライ夫人と亭主関白 [DVD]
(2003/03/25)
高島忠夫、 他

詳細を見る


女王蜂の怒り [DVD]女王蜂の怒り [DVD]
(2005/08/24)
久保菜穂子、宇津井健 他

詳細を見る


2011/09/30(金) 13:45:54 新東宝 トラックバック:0 コメント(-)
次のページ