0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「ラムネ」

 篠原哲雄「ラムネ」、

 與真司郎は奥手の高校生だが、美術大学への進学を志すも教師からは無理と言われていた。

 しかし美大受験を諦められない與は、教師から女子の人物画を書くように課題が与えられる。

 奥手で女子とまともに話せない與は女子モデルを探すことに難航するが、ある時與の書いた劇画じみた絵を気に入っている清水美花がモデルになってくれる。

 しかし清水に興は散々振り回されていくが、いつしか清水に興は惹かれていく。



 
 高校生の進路がらみの青春映画。

 いかにもありがちな設定、音楽や台詞のもっともらしさ、自分探しの映画を高校生の進路話にして、そこに死んだ女子との恋愛というすでに廃れてきたが一時期大流行した安い恋愛映画のパターンをはめ込んでいる、何もかもありきたりな映画といった感じである。

 美術教師の江口のりこが、まあ絵を舐めているように感じて興につらく当たるところがちょっと悪くないぐらいで、興と清水の恋愛話もその過去の回想も、最後に知れる真実もどれもこれも察しのつくものばかりで、まあエイベックスの映画らしいと言ってしまえばそれまでだが、あまりにも手垢にまみれたありきたりさばかり感じさせる映画である。

 おまけに清水の死を知った興の教科書に挟まっていた四葉のクローバーが宙を舞う終盤のシーンはあまりにもダサくて、篠原哲雄は今やメジャー系のそれなりの監督だが、これは単館系の映画なのにメジャー監督作よりベタなことばかりやっている。

 やはりエイベックスに気を使ってこういうベタな映画にしてしまったのかもしれないが、皮肉なまでにありきたりな描写の連続にはひょっとして安い恋愛映画のパロディをやっているのか・・・?と疑いたくなるほどである。(苦笑)

脇の烏丸せつことかも好演しているし、主役の與真司郎だって一応熱演しているように見えるのだが、映画がこうまでありきたりでは、何もかも安っぽい感じばかりがしてしまう。

 そんななんとも残念な一篇。


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松田龍平、池内博之 他

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2011/08/31(水) 14:11:33 その他 トラックバック:0 コメント(-)
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