0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「狼たちの処刑台」

 
狼たちの処刑台 [DVD]狼たちの処刑台 [DVD]
(2011/04/08)
マイケル・ケイン、エミリー・モーティマー 他

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 ダニエル・バーバー「狼たちの処刑台」、

 初老のマイケル・ケインは治安の悪い地域に住み、痴呆が進行した老いた妻を亡くす。

 その後チェスの相手で親友の老人が若いギャングどもに嫌がらせを受けている話を聞くが、その親友も殺されてしまう。

 警察は容疑者の若者を尋問するが、証拠がなく捜査は進まず、おまけに老人が攻撃を仕掛けたので正当防衛が成立してしまいそうだった。

 友人を亡くし泥酔するケインだが、ある時暴漢に自分も襲われ殺したことから、元海兵隊で殺しのプロだったケインは復讐を開始する。


 

 マイケル・ケイン主演の老人復讐アクション。

 それまでは老いた相貌だったケインが、復讐のために殺しを始めると、そのプロっぽい動作にかっての傑作「狙撃者」のジャック・カーター=ケインが復活したような魅力がきらめき、まさにマイケル・ケインならではの個性がそのまま映画の魅力となっている。(マイケル・ケイン最高傑作の呼び声も高い)

「ダークナイト」などで見せた老いたケインの魅力が、この映画ではさらに一匹狼の元殺しのプロという役にぴったりであるがゆえにさらによく出ている。

 設定的には元海兵隊で若い凶暴なギャングと戦うというところまで「グラン・トリノ」のイーストウッド的ではあるが、寧ろこのケインは「狙撃者」のジャック・カーターに、「ローリングサンダー」のベトナム帰りの復讐者・ウイリアム・ディべインや、「狼よさらば」の復讐者チャールズ・ブロンソン、「狼たちの影」の復讐者・ジョージ・ケネディが重なっているようなテイストがある。
 
 原題が「HARRY BROWN」だが、このケインの役名がかっての「国際諜報局」のハリー・パーマーを彷彿とさせるハリーであるところにマイケル・ケインリスペクト映画であるところが顕れているとも言える。

 途中のガンアクションシーンが中々端的かつクールに描かれていたり、ケインに拳銃を売った売人の説明がガンアクションの伏線っぽくなっているところもあり、わりとテンポよく簡潔に描かれている。

 「グラン・トリノ」と比べると終わることのない暴力と殺戮の日常に闘いを挑むB級アクション映画テイストが濃厚で、その辺りの味わいもいい、マイケル・ケインが実に素晴らしい佳作な一篇。
2011/03/31(木) 13:45:09 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)
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