0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「セロひきのゴーシュ」

 田中喜次「セロひきのゴーシュ」、

 チェロ弾きのゴーシュは明日演奏会だというのにチェロがうまく弾けず指揮者に怒鳴られる。

 森を通っても木々が怒鳴る指揮者に見えてしまうほどで焦るゴーシュだが、家に帰ってチェロの練習をしていると猫や鳥やたぬきがやって来て「先生教えてください」とゴーシュに言いつつゴーシュのチェロの練習に協力していき、翌日の演奏会ではゴーシュは一番うまく演奏する。


 

 宮沢賢治原作の影絵による映画化作品。

 影絵のテイストが宮沢賢治の原作によく合い、いい味わいの作品になっている。

 ゴーシュは動物たちにかなりイラついた態度を最初見せているが、最終的には動物たちが「先生教えてください」と言ってやって来ては実は逆に自分に音楽を教えてくれていたことに気ずいて、演奏会ではベストに上達した演奏を見せ動物たちと喜び合う。

 演奏会がうまくいった時の観客たちの超高速拍手の動きは笑わせるが、全体的には影絵の動きが題材によく合っていて、楽しく見られる。
 
 教育的指導という点でも今だ有効なラディカルな方法論を描いているが、それを可愛らしく見せているところもいい一篇。


セロひきのゴーシュ (福音館創作童話シリーズ)セロひきのゴーシュ (福音館創作童話シリーズ)
(1966/04/01)
宮沢 賢治

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2010/11/30(火) 13:39:11 その他 トラックバック:0 コメント(-)
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