0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「沈黙の隣人」

 増田俊樹「沈黙の隣人」、

 男は美人局をしていたが仲間にヘタレだと呆れられる。

 いつも男がバイト的に働いている黄金咲ちひろの貿易会社は増田俊樹の口利きで入った会社だったが、そこのある社員は不正を行なっていた。

  増田はいろいろ面倒見のいい男だったが、実は過去に誘拐事件を起こしていた。

  その共犯者は別件でパクられて出所してきて妹と暮らしていたが、こちらも会社をクビになったりしていた。

  ある時不正を行なっていた社員のことで会社はつぶれ、増田も金に困るが・・・。



  任侠映画的な味のあるノワール的な作品。
 
 しかしそのわりにはタッチが違う・・・・というかまるで普通の自主映画のようなテイストで撮られているのだが、まあそれは低予算でもあろうし、それにあくまで普通の日常の中で犯罪劇を描いているとも見える。

 ただ音楽がそれにしても故郷みやげ物屋や割烹料理屋のBGMみたいであまりに外しているのが意味不明であり、アクションシーンもまあ日常タッチだから迫力なくてもそれはそれでいいとも言えるが、ちょっとユルすぎる。

 チェリーレッド追悼作品・・・とあるがチェリーレッドという人の追悼作品なのだろうが、つまりこの主人公の面倒見のいい男気ある任侠道的なキャラがその人からの投影なのだろうか。

 主役の増田俊樹にはとてもリアリティがあり、まだ40代らしいが小林稔待以上の渋い味わいが絶品なので、もうちょっと映画自体もそれに合わせてリアリスティックなタッチの緊張感溢れるものにすればよかったのに・・・と惜しまれる。

 その意味ではフレンチノワール的なところもあるので、そこをもうちょっと追求してほしい・・・とも思った。
 

 多くのスタイリッシュなだけで薄っぺらな犯罪映画とは違って、社会の底辺にいる犯罪者や前科者たちの人と人との繋がりや絆、想いをちゃんと描いているところには好感が持てるし、それがチェリーレッド追悼作品ということとも重なっているのだろうが、ちょっとチグハグなところが惜しい一篇。






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  2010/02/28(日) 13:52:50 その他 トラックバック:0 コメント(-)
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