0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「未亡人の寝室」

 斉藤信幸「未亡人の寝室」、

 ある老作家についている男は作家と共に連れ合いと死に分かれたり逃げられた女、志摩いづみと三崎奈美がやってる旅館で小説を書こうとしていたが、もうひとつ書けないでいた。

 作家に代わって小説のために未亡人志摩とその妹三崎とSEXする男だが、三崎との方がよかったという男に老作家はSEXは死へと向かうものであり、また人を生かすものでもある・・・というようなことを言う。

 男はその後も志摩や三崎と関係するが、ある時蒸発していた三崎の夫で志摩の弟が帰ってくる。


 斉藤作品らしいメロウネスなサントラで始まる映画だが、作品自体は感傷的なものではなく寧ろ文学ポルノと言えるような作品である。

 志摩いづみと関係していく男は最初は若い三崎との絡みの方に惹かれるが、作家の言葉通り最終的には死者と生者の交わりの現場を目撃してそのことの凄みに慄然とする。

 ここでの志摩いづみの艶やかな演技はまるで焦点が定まっていないかのような視線の混濁が、この世とあの世を両方見ているような不気味さを漂わせてかなりの怪演と言える。

 徐々に志摩にはまっていく・・・というより老作家の言葉の意味を噛みしめざる得なくなる男が中心に描かれているが、その構成もよく、文豪の原作をエロで映画化したから文藝ポルノと世間で呼ばれるものよりきちんと文学ポルノになっているところは秀逸だろう。

 しかしこの映画がそれでもどうにも弱いのは脇のはずの三崎の絡みのシーンの方がやはり迫力も生々しさも上に見えるからだろう。

 志摩いづみは怪演しているしそれは文学というより怪談の域にもあるものだが、わざと露出を少なくした志摩の方を三崎の派手な絡みより深くエロいものにしようとした意図が成功していないところがある。

 露出をしないでエロくする・・・にしてももうちょっと撮り方があったようにも思えるが・・・・否しかしながらこれがそう悪くないものではあるのだが・・・・・これはやっぱり脇の三崎奈美が文学ポルノ自体を生々しい絡みで食ってしまったゆえだからなのかもしれない。(苦笑)

 勿論三崎奈美は間違っても全然悪くないし頑張っているのだが、これはどうも、あまりに活きのいい女優を脇で使うとどうしても文学ポルノの構造上のバランスが悪くなってしまうという感じの一篇。




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2010/01/31(日) 14:12:58 日活 トラックバック:0 コメント(-)
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