0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 斎藤耕一

 
再会 [DVD]再会 [DVD]
(2006/03/30)
角ゆり子江波杏子

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 斎藤耕一監督が亡くなった。

 全盛期にはクロード・ルルーシュ的な映像の飛びっぷりが絶妙で、早すぎたPV監督のような先鋭的なところのある監督だった。

 それがある時は秀作に結実し、ある時は不思議な映画にもなった。

 「囁きのジョー」でデビュー以来、「小さなスナック」のような佳作に「東京←→パリ 青春の条件」では歌謡映画を独自のセンスで飛ばしながら、意外にちゃんとした青春映画にもっていく手腕を見せ、「季節風」も野口五郎の歌謡映画なのに、ここには70年代にだけあったいたたまれない感傷があり、それが映画全体にメロウに吹きぬけていた。
 同じ野口主演で江波杏子が出ていた「再会」もよかった。

 「津軽じょんがら節」や「旅の重さ」のような佳作にショーケンがよかった「約束」、勝新と高倉健のコンビ作「無宿」などの作品もあった。

 かと思うと「旅路 おふくろさんより」のような、母の記憶を胸に秘めて生きていると言う割にはその母の顔を一番忘れているおかしな兄弟を描いた歌謡映画の珍作もあった。

 歌謡映画のような映画にも作家としての野心を十分見せ、プログラムピクチャー作品が多いのにどの作品にも自身の刻印がわりと残されている作家だった。

 斎藤耕一さん、ご冥福をお祈り致します。

 
 
2009/11/30(月) 12:25:23 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)
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