0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『ネイビーシールズ:オペレーションZ』




スタントン・バレット『ネイビーシールズ:オペレーションZ』、

ルイジアナ州ニューオーリンズにアメリカ副大統領が遊説に来るが、急に音信不通状態になり、バージニア州ダムネックの海軍司令部に救援要請が出される。

副大統領救出の指令を受けたネイビーシールズ隊員たちは現地へ出向くが、そこにはゾンビが大量にいて苦戦することになる。

世界最強の精鋭部隊ネイビーシールズは、副大統領救出のため、ゾンビの大群と戦うが。





アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズ対ゾンビの大群の戦いを描いたアクション映画。

しかしネイビーシールズの良さもゾンビ映画の魅力も何も出ていない中途半端作である。

監督のスタントン・バレットは、元々レースドライバーやスタントコーディネーターらしいが、そういう人の監督作特有の派手なスタントの見せ場がそうあるわけでもなく、ひたすらどこが世界最強の精鋭部隊なのか?と言いたくなるほどモタついたネイビーシールズの戦いぶりと、ゾンビ軍団の大して芸もない単調な襲撃や安いCG場面が描かれるばかりで、さっぱりダメな映画である。

だいたいゾンビ映画のパイオニアであるジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』にしてからが、そこらの一般人がゾンビ軍団に対して、ショッピングモールを舞台にした大規模なシューティングゲームか市街戦並みの派手な銃撃を繰り広げていたのに、世界最強の精鋭部隊であるネイビーシールズが、単調な襲撃しかしないゾンビ軍団相手に、それより遥かにショボい戦いぶりでしかないという点でこの映画は終わっている。

ネイビーシールズは面倒臭い命令系統にゴタゴタするばかりで終始要領を得ないことを繰り返しているし、それでゾンビがかなり強力ならまだ話もわかるが、大して迫力もない普通なゾンビ軍団が単調に暴れるばかりなのに、ひたすらモタついているネイビーシールズが描かれるばかりである。

最後はネイビーシールズ隊員の勇敢さを讃えて終わるが、まあそれはそれで称賛するのは結構なのだが、しかしその前のゾンビ軍団との戦闘場面がイマイチなので、どうにもせっかくの隊員の称賛に感動が薄いというか、盛り上がりに欠けてしまうのが残念である。

ネイビーシールズのモタつきぶりが、リアリティーを追求してそうなっているなら、まあそれはそれで絵空事を描いていないリアルさとして評価もしたいが、しかしただ作劇がモタつき、ゾンビ軍団の描写に工夫もなく、ただ単に映画がヘタなだけとしか言いようがないのでどうしようもない。(苦笑)

そんな中途半端な残念作の一篇。 2017/10/17(火) 00:06:43 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『リディック・ギャラクシー・バトル』




デヴィッド・トゥーヒー『リディック・ギャラクシー・バトル』再見、

リディック=ヴィン・ディーゼルは、ネクロモンガー族の最高位に就いたが、司令官のカール・アーバンの策略により、知らない惑星に置き去りにされる。

その惑星は灼熱の大地が広がる上に、凶暴な水棲エイリアンやモンスターが襲いかかってくる最悪の星だった。

エイリアンとの戦いに苦戦しつつ、リディックはなんとかこの星から脱出しようと、シェルターで見つけた非常用無線を発信して、指名手配されている自分を捕まえるためにこの惑星にやって来る賞金稼ぎたちの宇宙船を奪おうと計画する。

賞金稼ぎ軍団とリディックの対決が始まるが。




ヴィン・ディーゼル主演のリディック・シリーズ3作目。

戦闘能力高いリディックが、冒頭凶暴なモンスターやエイリアンに苦戦し、随分追い詰められるが、この場面は台詞がなく、言語無き原始的な空間でリディックにモンスターやエイリアンが襲いかかるばかりのシーンが描かれるが、原始的なワイルド空間にサイレント映画的な原始性が重なり、中々映画としての魅惑が煌めく冒頭描写になっており秀逸である。

こんな描写が全編続けば中々得難い傑作になったようにも思うのだが、しかし賞金稼ぎたちとの戦いが始まると徐々にありがちなSFアクション映画のパターンやテンプレにハマりだし、挙句ラストは妙に腰砕けで取って付けた中途半端な終わり方となりちょっと残念である。

リディックの過去の話も絡むが、それが物語に深みを与えているともあまり言い難い。

やはりリディック以外の人間が出てきてからの描写がイマイチ失速気味で、冒頭のリディック以外はエイリアンやモンスターだけの場面のサイレント映画的描写の緊迫感が薄れたのが惜しい。

別にヴィン・ディーゼルはリディック役に似合っているし、エイリアンやモンスターにも生々しい迫力があるのだが、冒頭の描写がいいだけに、後半の人間同士の疑心暗鬼を描いた部分のサスペンスがイマイチとなり、全体に尻つぼみ感というか失速感を感じざるを得ない映画になってしまったのが残念である。

それでもそうつまらない映画というわけではなく、不穏な気配の惑星で展開が二転三転するSFサスペンスアクション映画にはなっている、まあまあな出来の一篇。 2017/09/30(土) 00:06:21 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『ロシアン・スナイパー』




セルゲイ・モクリツキー『ロシアン・スナイパー』、

1941年、ナチス・ドイツはソ連に侵攻するが、大学生のリュドミラ・パブリチェンコ=ユリア・ペレシルドは、女性ではあるが天性の射撃の才能があり、それが注目されてスナイパーとなり、戦場に行くことになる。

ユリアはナチス兵を多く狙撃し、ナチスに”死の女”と呼ばれ恐れられる。

だがソ連軍上層部には英雄扱いされるのと同時に、戦意高揚の象徴として利用されるようになっていく。

敵を狙撃する任務を遂行しながらも、ユリアは戦場で恋をするが、しかし戦地で恋人は戦死してしまう。

戦況はその後悪化し、ソ連軍は要塞に追い詰められていき、10カ月間の攻防戦を繰り広げることになる。

ユリアも失意の中奮闘するが。




旧ソ連に実在した女性スナイパー、リュドミラ・パブリチェンコを描いた実録映画。

リュドミラの波瀾万丈な人生を描くと同時に、派手な戦闘場面も中々の迫力で描かれている。

だから実録映画であることを途中つい忘れて、荒唐無稽なまでに天才的な、”死の女”とまでナチスに怖れられる凄腕の女スナイパーの死闘を描いたエンターテイメントな戦争アクション映画にもだんだん見えてくるのだが、しかしリュドミラの過酷な人生や生な息吹、女としての恋情や愛する者を失った哀しみが痛々しいまでにリアルに描かれてもいるので、やはり実録映画としての重みが、まるで重低音のように響いてくる映画になっている。

そういう意味では、映画としての見せ場は派手だが、中々厚みのある作品である。

リュドミラ役のユリア・ペレシルドは哀愁と内なる強さが同居した、まるで”さそり”を演じていた時の梶芽衣子のような個性が役によく合い、恋愛描写もわざとらしい色恋挿話を描いたりせずに、直観的に男女が戦場で結ばれていくダイレクトさには自然さがあり、それが荒々しくも壮絶な戦場における恋愛というものをリアルに体現しているように見える。

ロシア映画なのに、反戦映画的だったり当時の軍部の狡猾さを捉えた描写が随所に明確にあるのには、よく検閲されなかったなとちょっと驚いたし、アメリカ側がリュドミラにかなり理解を示し、元アメリカ大統領夫人のエレノア・ルーズヴェルトとの交友が描かれる場面もあり、と元々こちらが想像していた、ロシア側にとって国家的に都合がいいだけの英雄を描いた映画ではないところは中々いい。

リュドミラはナチスを大量に殺した英雄ということかもしれないが、しかしそこには大量虐殺をやったナチスを、同じく大量に殺した死の女の重苦しさの気配がかなり出ていて、とても英雄の映画には見えないリアルな痛々しさが漂っている。

人間ドラマとしても派手な戦争アクション映画としてもよく出来ている、わりと秀逸な一篇。 2017/09/23(土) 00:06:08 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『ドラゴン・コップス 微笑捜査線』




ワン・ジーミン『ドラゴン・コップス 微笑捜査線』、

ある時、人気スターのケビン・チェンがスカイダイビング中に事故死するが、それから香港のセレブたちが続々と微笑みを浮かべたまま亡くなるという事件が巻き起こる。

香港警察のベテラン刑事のジェット・リーと新米刑事のウェン・ジャンが捜査するが、彼らはトラブルメーカーで、女上司のミシェル・チェンは頭を抱えていた。

だが、殺されたセレブたちと付き合っていた美人女優リウ・シーシーが容疑者として上がる。

そして彼女には、いつも恋人を奪ってしまう怪しくもセクシーな姉のリウ・イエンがいて、彼女も容疑者と目されていくが。







ジェット・リーが主演のポリスアクション喜劇映画。

しかしジェット・リーは主演のわりに大して出てこない上に、まだ50代前半だろうに、定年間近の老けた刑事役で何ともパッとしない。

確かに階段を使った立体的な構図のワイヤーアクションは中々決まっているが、リーは脇役っぽく、ほとんど主役は相棒のウェン・ジャンに見える。

中国で大ヒットしたらしいが、ワイヤーアクションのカンフー場面もそれほど大したものじゃないし、ブルース・リャンが出ているのは嬉しいが、なんとなくワイヤーアクションの場面を挿入する構成自体がよくない気がして、よくこれで大ヒットしたなと思う。

一応警察の捜査を描いたミステリ展開とワイヤーアクションを絡ませているわけだが、結局どちらも中途半端で、おまけに肝心のジェット・リーが老け役で脇役的なまでに大して出てこないとあっては、何とも中心を欠いた隙のある映画に見えてしまう。

最後に真犯人が発覚し、アクション対決となるが、このクライマックスもイマイチ盛り上がりに欠ける。

一応、ジェット・リーとウェン・ジャンとミシェル・チェンによるコミカルな掛け合いはそれなりにコテコテの香港喜劇映画らしくなってはいるし、お約束のエンドロールのNG集はまあ楽しいが、やはり全体的には、そうつまらなくはないもののイマイチヌルい出来である。

脇で扇情的な悪女っぽい個性を出しているリウ・イエンは中々目立っているが、やはり主役のジェット・リーが脇役っぽいことや、全体の中途半端感が、映画をこじんまりさせているように思う一篇。 2017/09/12(火) 00:03:04 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『ゾンビーバー』




ジョーダン・ルービン『ゾンビーバー』、

ある時、トラックに積まれていた汚染廃棄物が、ビーバーが棲息する湖に落下する。

湖の周辺にコートニー・パームら女子3人組がキャンプにやって来るが、謎の影を感じて怪しんでいると、それはそれぞれの恋人や元彼で、男女らはそこから乱痴気騒ぎになる。

だが、風呂場に凶暴なビーバーが現れ、なんとか殴り殺すものの、その死体が消えてしまい、それから多くの凶暴なビーバーが襲来し、殺してもビーバーは実はゾンビ化しているので復活して襲いかかってくる。





ゾンビ化したビーバー=ゾンビーバーがキャンプにやって来たバカカップルの一行を襲うパニックホラー・バカコメディ。

ビーバーはゾンビとは言え、マペットで妙に可愛らしい。

『ハングオーバー』シリーズのスタッフが参加しているおふざけホラーで、男女カップルの乱痴気騒ぎやバカげた絡みが描かれる中、そこにゾンビーバーが襲来し、ひたすらマペットの可愛らしいビーバーを叩き殺すシーンに発展する。

バカな男女らしい痴情のもつれの挿話もそこに絡んで、コミカルにお話は展開するが、まあホラーとしてはやたらにヌルいものだし、コメディ映画としてもそれなりの出来である。

しかしラストに流れるわりと本格的なジャズヴォーカル曲である「ゾンビーバーのテーマ」が中々決まっていて、おふざけにエスプリが効いている。

曲やヴォーカルは本格的でも、歌詞の中身はこの映画のテーマ曲らしく極めてショーもないが、ラストにこういうテーマ曲を持ってくる『ダイ・ハード』のパロディみたいなセンスは悪くない。

ZOMBEAVERS Theme Song

バカな男女を演じている役者陣も主演のコートニー・パーム他それぞれ個性があって、わりと好演しているとは思う。

大した映画では全くないが、エンディングまでキッチリおふざけに徹してはいる一篇。 2017/08/22(火) 00:07:13 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)
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