0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『実写版まいっちんぐマチコ先生 無敵のおっぱい番長 タイマン勝負で、まいっちんぐ♪』




植田中『実写版まいっちんぐマチコ先生 無敵のおっぱい番長 タイマン勝負で、まいっちんぐ♪』、

あらま学園に、教師として採用された麻衣マチコ=相澤仁美は、初出勤日から寝坊をし、慌てて学園へ向かう。

登校中、二人の男子生徒は女生徒たちのスカートをめくりパンティメモを記録していた。

そこにやって来た相澤は、学園のスケバンの赤井沙希と舎弟が、小池唯をいじめている現場を目撃する。

相澤は赤井を叱るが、赤井は反抗的な態度で小池をいじめ続ける。

赤井が何故小池ばかりいじめるのか相澤には疑問だったが、相澤が介入することでイジメが酷くなったため、2年2組の担任の相澤は生徒たちから総スカンを食らう。

だが相澤は小池に赤井と戦うことを促す。





えびはら武司原作コミックの実写版シリーズの一作。

マチコ役を相澤仁美が演じている。

実写版のマチコ役は、歴代では磯山さやかが一番それらしいなと思ったし、森下悠里などもいかにもというキャスティングだと思ったが、相澤仁美のマチコ役はそうピッタリというわけではない。

しかし歴代ではマチコ役のベストだと思う。

やはりコミックのマチコの巨乳を強調した画のラインを、相澤はそのまま実現できている身体つきだから、実写化したことに無理を感じさせないのである。

この映画が公開された頃、相澤は巨乳グラドルとして売れに売れていたのにいつの間にか消えてしまったが、今見ても、やたら迫力ある巨乳を強調した動きは、そう古びていない。

マチコ役としてのコミック的な弾け方を、そのままその身体つきで体現出来ているというのは、この手のコミックの実写化としては、悪くないと思う。

まあお話はグダグダ、ユルユルの学園コメディでしかなく、それを最後の最後までショーもないオチで括っている他愛ないものだが、そのショボさをまったり見ていられる映画ではある。

大したことはないが、村木藤志郎の校長が元伝説の番長だったり、スケバンの赤井沙希の舎弟アベが子供だったりするところは、ちょっとだけ捻りがある。

ユルいコメディだが、まあまあな感じの一篇。 2018/02/13(火) 00:06:28 その他 トラックバック:0 コメント(-)

『怖すぎる話 劇場版』

仁同正明、沖田光『怖すぎる話 劇場版』、

証明写真の機械に幽霊が出る「キヨコ」、
会社からの帰り道に人間が落下して叩きつけられた姿を何度も見る「おちてくる」、
男女の交際目的の肝試しで悲劇が起こる「蛇口」、
広告代理店の仕事の出来る後輩から貰ったメールに添付されていた不気味な写真を巡る「添付ファイル」、
図書館で借りた古書に挟まっていた写真の裏に書かれていた言葉「はどろば」について調べる「はどろば」、
霊が見える少女が、友達が日々痩せ細っていくことに不審を感じる「やせ細る友人」、
などなどの6つの挿話が描かれている。




オカルト雑誌ムー創刊35周年記念アプリ『実録!怖い話』に投稿された恐怖体験話を、幾つかの短い挿話にして繋いだオムニバスホラー映画。

製作、配給のジョリー・ロジャーはすでに潰れている。

それぞれの挿話のヒロインも、ステーション♪、おっPサンバ、アイコン(R)、ハニースパイス、危ない女の子シスターズなどの、どれもこれも解散したか、活動休止したアイドルグループのメンバーが演じている。

アイドルたちの演技は別にそう悪くない。

特に「おちてくる」の高木あずさなど好演と言ってもいいくらいである。

しかし肝心のホラーシーンの演出がなんともモタついているし、見せ方がどれもこれもヘタな上に工夫も無さすぎて、どうしようもなくユルイ出来である。

一昔前には、Jホラーブームというものがあり、まあ個人的には幽霊ホラーには大して怖い映画はなく、せいぜい黒沢清と白石晃士の監督作に感心したくらいだったが、それでもどの作品も、演出には考え抜かれたものを感じたし、ホラーシーンの見せ方にもそれなりに工夫があった。

しかしJホラーブームが終わり、その後のホラーがこんなテキトーな演出で、ヘタな上に、大して見せ方に工夫もない映画だと、やはりゲンナリしてしまう。

Jホラーブームの頃の映画には、確かに一部の作品にしか感心しなかった方だが、しかしこんな体たらくではなかったと思う。

先達のやってきたことを受け継いでいないどころか、新たな創意工夫も感じられないようなホラー映画でしかなく、なんともいただけない。

映画全てがメチャクチャにヘタクソな映画というわけではなく、それなりに淡々と見ていられる映画にはなっているのだが、肝心の見せ場に、これだけ工夫や演出の妙技が感じられないというのは、さすがに残念な出来である。

そんな何とも喰い足りなさすぎる一篇。 2018/02/06(火) 00:14:00 その他 トラックバック:0 コメント(-)

『覇王~凶血の連鎖~Ⅳ』




小沢和義『覇王~凶血の連鎖~Ⅳ』、

内藤新宿一家は世襲制組織で、血統者だけが一家の長を継げる組だった。

舎弟頭補佐の山口祥行は、血縁者の少年、落合晴音を13代目として推し、組を立て直そうとするが、ムショから出てきた内藤新宿一家元舎弟の冨家規政が様々な謀略を巡らせる。

そこに12代目として立つはずだった小沢和義が絡む。

結局内藤新宿一家は、落合を13代目として推す山口一派と、小沢を立たせて歴史を変えんとする井田國彦一派、そして冨家の一派による三つ巴の抗争となっていく。

そこに大阪の大組織の会長・宇梶剛士が絡む。





俳優小沢和義が監督したシリーズ作。

兄の小沢仁志も監督として、これまでかなり力作を撮ってきたが、小沢和義も随分前に撮った初監督作「DOG TAG」がちょっとした佳作だったし、兄弟揃って監督としての才気も中々である。

このシリーズ作も、通常の極道映画とは一味違う設定や展開を迎える作品で、少年が跡目を継ぐ組織で戦う山口祥行や本宮泰風らが描かれている。

小沢和義は闇に葬られた殺し屋のような跡目候補の役で、岩佐真悠子の女殺し屋と暮らす、哀愁と謎に満ちた役どころを演じているが、これがかなり個性の強い半分悪役的なキャラで、山口とのガチンコ対決シーンにもアイデアがあり、中々悪くない。

血統者の跡継ぎの少年、落合が、敵対組織に裏切られた敵の北代高士のために泣いてやるシーンから、北代が落合の下に付く展開にも必然性が感じられる。

また単なるベタな悪役に見えた冨家規政が、悪党は悪党でも、絶えず命を張った筋者の悪党であることが発覚していく展開やキャラ造形も中々いい。

抗争が錯綜するので、途中多少ややこしいところもあるが、要所、要所に出てくる人物が、善玉も悪役も皆個性的にキャラ立ちしているので、空中分解することはない。

小沢和義他役者陣も、皆好演しているし、中々飽きさせずに見せる一篇。 2018/01/23(火) 02:02:02 その他 トラックバック:0 コメント(-)

『惚れたらあかん 代紋の掟』




和泉聖治『惚れたらあかん 代紋の掟』、

大阪の一大勢力組織の会長から頼まれて、東京進出した組長の的場浩司は、池上季実子の妻がいるのに、カタギの女子大生・大河内奈々子に一目惚れし、やたらと言い寄る。

そのうち大河内も的場に惹かれるようになるが、的場の組と関東の組織の対立が激しくなり、的場は大河内と別れようとする。




家田荘子の原作を映像化した作品。

「相棒」シリーズの監督として有名になった和泉聖治が前に撮ったヤクザ映画。

しかし『極妻』もので当てた家田原作にしては、女性はモロに脇役で、別に普通に極道映画だし、恋愛映画的要素は薄い。

大河内奈々子は本来なら準主役的役どころだろうに、なんとも地味である。

あくまで的場浩司がひたすら目立っていて、寧ろ大河内より、浮気される的場の妻の池上季実子の方が強く存在感が出ている。

ヤクザ映画としては、ギャング映画的なテイストもあり、中々悪くないが、恋愛映画にはあまりなっていないように思える。

しかし、まだ今のようにブレイクする前の、木下ほうかのトボけた子分役がとても良く、コミカルさとハードさの按配は、さすがに和泉作品らしく悪くない。

出来としてはまあまあだが、そうつまらなくもない一篇。 2018/01/02(火) 02:22:02 その他 トラックバック:0 コメント(-)

『湯を沸かすほどの熱い愛』




中野量太『湯を沸かすほどの熱い愛』再見、

宮沢りえは夫のオダギリジョーと銭湯を経営していたが、オダギリが失踪したため休業し、パン屋のバイトで生計を立てていた。

だがある日、パン屋で客と応対中に宮沢は倒れ、病院で検査を受けると、医師からすでにステージ4の末期ガンで、余命2~3カ月との診断を下される。

宮沢はショックで落ち込むが、すぐに残されたやるべき仕事を死ぬまでに全うしようと動き出す。

クラスでイジメに遭い、不登校寸前となった娘の杉咲花に、宮沢は逃げないで立ち向かえと叱咤激励し、イジメるクラスメイトにはっきりモノが言えるように強い態度で迫る。

その後、行方不明のオダギリを連れ戻し、銭湯を再開させ、家庭を元に戻そうと奮闘。

オダギリが愛人から押し付けられた連れ子も引き取り、オダギリに留守番をさせて娘たちと旅に出る。

それは本当は自分の実の子ではない杉咲を、実母に会わせるための旅だった。





宮沢りえ主演の、余命幾許もない母と家族を描いた映画。

中野量太は前に書いた『琥珀色のキラキラ』もそうだったが、一見一時期流行った安い難病もののお涙映画なようで、それを捻ったりバリエーションを加えて別の映画にしてしまうのが巧い監督なので、これはそこがブレイクして、昨年様々な映画賞を総ナメにした出世作だろう。

宮沢りえの演技は神がかった名演だし、杉咲花もかなりの好演を見せていて悪い映画では全くない。

しかし、そのような中々悪くない映画だと思う反面、どうしても「感動の押し売りの物量作戦」じゃないかとも思えるのである。

難病にイジメの克服、親に捨てられた運命の娘の悲哀と、安いお涙映画が一つのお涙ネタでやってきたことを色々組み合わせて、最終的にうまく伏線回収し、宮沢りえに死とは正反対の生のタフさを演じさせれば、安っぽい印象が消えて感動の名作に格上げされるだろう、というあざとい計算で成り立っている映画なようにも見えてしまうのだ。

どの場面も、それぞれ別々の安いお涙映画で見たような場面ばかりだし、それをベタなショットと音楽で煽って、物量作戦でMIXすると、安いお涙映画認定から外れるというだけで、どうもしっくりこない。

なるほど、イジメに遭っている杉咲にブラジャー付きの大人な下着を宮沢が心配から渡したら、自分の力でイジメに立ち向かおうとした杉咲が、教室でいきなり下着姿になることで自らの覚悟を表明する場面が評判いいのはわからんでもない。

しかしそんなことをしても、笑い者にされるだけで、それで相手に立ち向かったことになるとは現実的には思えない。

宮沢は娘にイジメに一人で立ち向かえとは言うが、隠蔽もせずにイジメを無くそうする教師に娘を助けるようにも頼まないし、イジメる側を糾弾する戦い方もしない。

あれで杉咲がその後イジられなくなるとは現実的にはとても思えないし、毅然とした態度で修羅場を避けない対決をするなり、イジメを隠蔽しない教師と共に戦うとかもしないで、立ち向かいパフォーマンスをやったら観客感動なんてのは、あまりにも綺麗事にすぎる。

それにオダギリジョーの夫は、愛人に娘を押し付けられたとは言え、自分の娘ではないのか?

宮沢が実の子ではない杉咲を実の母以上に親身になって育て、その上、何の関係もない子供まで宮沢が親身になることで、やたらと宮沢に花を持たせ、オダギリはひたすら他人事顔しているのに、どこかいい奴風に描かれるというのも何だかあざとい。

宮沢りえの神がかった名演ゆえに、周りの者たちが宮沢のすごさをリスペクトする場面には説得力があり、こんなタフで思いやり溢れる母親も現実にいるかもしれないなとは思わせる。

杉咲花が徐々にしっかりしてくるところなども自然に出ていて、役者陣の演技は申し分ないのだ。

賛否両論のラストは無茶苦茶だが(苦笑)、話の流れからすれば、まあ映画だし、こういう終わり方も有りだとは思う。(普通に犯罪だとは思うが)

しかし、全体的には感動の押し売り物量作戦ぶりが随所に目立ち、そう悪い映画ではないが、世間ほどには絶賛する気になれない一篇。 2017/12/23(土) 01:49:39 その他 トラックバック:0 コメント(-)
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