0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 川地民夫




川地民夫さんが亡くなった。

若い頃の日活時代は、悪ぶっているがどこか純なところがある若者をよく演じていたように思う。

そんな若者役の「狂熱の季節」、「昼下がりの暴力」「すべてが狂ってる」でのギラギラした好演の他、「海底から来た女」や「拳銃0号」、死刑になることに恐怖し、不安な心理に苛まれる死刑囚を生々しく好演した「処刑前夜」、「くたばれ悪党ども」「野獣の青春」、コミカルな好演を見せた「河内ぞろどけち虫」や「河内カルメン」などでも良かった。

東映で菅原文太と組んだ「まむしの兄弟」シリーズはやはり代表作だろう。

中年期以降は、Vシネマで貫禄のある親分役やヤクザ役をよく好演されていたが、「実録九州ヤクザ抗争史 小倉戦争」では、出所後、更生しようと真面目に働くも、様々な偏見に妨害されて、結局また罪を犯してしまう元ヤクザの悲哀を見事に名演されていた。

千葉真一主演のアクション刑事ドラマ、TV「大非常戦」にも出ていた。

その個性、演技、味わい、存在感の全てが日本映画を支えた魅力であり、名優の証であった。

素晴らしき名優だった。

川地民夫さん、ご冥福をお祈り致します。




2018/02/17(土) 01:30:54 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

追悼 夏木陽介




先日、夏木陽介氏が亡くなった。

やはり車好きが有名な人だったし、武勇伝多しの、かなり豪快な漢の人生を送られた方だなという印象が強い。

東宝時代の、若い頃のコメディ「おいろけコミック 不思議な仲間」でもレイシングドライバーをクビになった車好きの役だった。

21世紀になってからも、前に評を書いた「湾岸フルスロットル」シリーズに出演していたが、やはり、これも前にここで評を書いた、意外な秀作「湾岸最速バトル<スカイライン伝説>」での、伝説のチューナー役は、実にリアリティのあるハマり役で、素晴らしい名演だった。

この作品は夏木氏の後年の代表作だと思う。

その他「宇宙大怪獣ドゴラ」や「用心棒」、「暗黒街」シリーズ他の岡本喜八映画、TVで評判の教師役を演じたドラマの映画版に見える「でっかい太陽」でのクールな好演、「吼えろ脱獄囚」、「女ばかりの夜」や、「大脱獄」での渋い好演などが特に良かった。

またTV「Gメン'75」の小田切警視役、「青春とはなんだ」の教師役、「明智探偵事務所」の明智小五郎役なども良かった。

特に明智小五郎役のジェントルマンぶりは実に決まっていて、「明智探偵事務所」における、明智=夏木陽介、怪人二十面相=米倉斉加年というキャスティングは、今だベストキャスティングだと思っている。(撮影現場は大揉めだったらしいが)

男っぽさと涼しげな爽やかさが融合した名優だった。

夏木陽介さん、ご冥福をお祈り致します。





2018/01/27(土) 00:06:35 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

追悼 ハリー・ディーン・スタントン




ハリー・ディーン・スタントンさんが亡くなった。

91歳と長生きされたが、実にアメリカ映画的な顔立ちや存在感の名優だった。

やはり主演作『パリ・テキサス』での名演の印象は強く、また世間的にも代表作であろうが、主に脇での活躍が多かった名バイプレイヤーだった。

『断絶』『ストレート・タイム』、『レポマン』『エイリアン』などでも印象深い好演を見せ、デヴィッド・リンチ映画にはその個性や存在感がかなりよく似合い、常連俳優だったが、ある意味ハリー氏の存在感というのはリンチワールドの一角を占める構成要素だったような気がする。

特にアメリカ郊外の田舎町にいる、リアルだが妙に癖のあるアメリカ人役がリンチ映画では特に映えていた気がする。

『ワイルド・アット・ハート』や『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』でも良かったが、珍しく何も起こらない長閑なリンチ映画『ストレイト・ストーリー』でも、アメリカの農村地域にハリー氏が何気なく登場するだけで、妙にアメリカの田舎町の狂気の気配が漂い、長閑な映画に不思議な緊迫感の亀裂が入っていた。

その他、『フール・フォア・ラブ』『スラムダンス』や、近年でも、前にここでレビューを書いた『セブン・サイコパス』他などで好演していた。

アメリカ映画の魅惑を体現していたような名優だった。

ハリー・ディーン・スタントンさん、ご冥福をお祈り致します。





2017/09/19(火) 00:06:59 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

追悼 土屋嘉男




土屋嘉男氏が今年2月に亡くなられていたらしい。

役者になる前は井伏鱒二の釣り仲間で、井伏の弟子の太宰治ともその縁で知り合い、太宰の勧めで俳優になられたという、なんともすごい経歴の方だった。

やはり『七人の侍』他の黒澤明映画での好演の印象が強いが、それと東宝特撮映画での好演もやはり忘れ難い。

前にここでレビューを書いた秀作『透明人間』や、『ガス人間第1号』『マタンゴ』、『ゴジラ』シリーズ他の東宝怪獣映画などを観て、子供ながらに「東宝特撮の顔」とすら昔思ったものだった。

だが、鈴木英夫監督作にも刑事役他などでよく出演されており、丹波哲郎デビュー作の新東宝犯罪映画『殺人容疑者』や、秀逸なサスペンススリラー『彼奴を逃すな』や大傑作『脱獄囚』、前にここでレビューを書いた『社長無頼 怒号篇』や、山崎努主演のピカレスクノワール『悪の階段』などなどの傑作映画での好演も良かった。

TVでは『大激闘 マッドポリス80』の、第1話で殉職する初代キャップ役他などを演じられていたのも忘れ難い。

また、成瀬巳喜男の傑作『ひき逃げ』や『乱れ雲』『妻の心』、白川由美主演の女探偵映画『女探偵物語 SOS』や、石井輝男脚本の佳作サスペンス『黒い画集 ある遭難』、

これも前にここでレビューを書いている『おしゃべり奥様』(中村メイコの旦那役)とエド・マクベイン原作の『恐怖の時間』、

その他、主演作『奴が殺人者だ』や、『100発100中 黄金の眼』、岡本喜八の『斬る』や『日本のいちばん長い日』、『国際秘密警察 絶対絶命』、ATG映画『西陣心中』や、ピーターと同性愛シーンを演じた『薔薇の葬列』、諸星大二郎原作の佳作『奇談』他などでの好演も印象深かった。

温厚な紳士的個性と、人間臭い個性が同居していて、それが硬派な正義漢役やワイルドな役などにピッタリだったり、場合によっては、それが狂気に至る役どころとなる場合もあったが、いずれにしても、どこか品格のある名優さんだった。

土屋嘉男さん、ご冥福をお祈り致します。










2017/09/09(土) 00:06:43 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

追悼 ミレーユ・ダルク




ミレーユ・ダルクさんが亡くなった。

個人的にはやはり、好きなジョルジュ・ロートネル監督作での印象が一番強い。

ロートネルの『牝猫と現金』『女王陛下のダイナマイト』『狼どもの報酬』などのエスプリと洒落が効いたフレンチ・アクションコメディでの好演がとても良かった。

その他アラン・ドロン主演でロートネル監督の『チェイサー』にも出ていたが、ドロンとは長い間、愛人関係にあったと言われていたし、共演作も色々あり、『ボルサリーノ』や『プレステージ』他などでの共演が特に印象深い。

他にゴダールの『ウィークエンド』でも好演していた。

自分には何故か、特にロートネル作品に出ている時など、『ルパン三世』第1シリーズの二階堂有希子が声を当てた峰不二子のような印象が、この人にはずっとあった。

どこか醒めててファニー、セクシーだけどふんわかした洒落のめした雰囲気の独特の立脚感というか存在感に良き個性があったと思う。

ミレーユ・ダルクさん、ご冥福をお祈り致します。








2017/09/02(土) 00:06:46 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)
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