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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『リンゴ・キッド』




セルジオ・コルブッチ『リンゴ・キッド』、

リンゴ・キッド=マーク・ダモンは、左利きで黄金の銃を持つ賞金稼ぎ。

悪党一味を殺すが、賞金がかかっていないフランコ・デ・ローサをわざと逃がす。

町へ入ったリンゴは、保安官エットレ・マンニに黄金銃を没収されるが、その頃、フランコら悪党は、リンゴを執拗に狙い、先住民族と組んで町を襲う。




マカロニウエスタンだが、アメリカ西部劇設定をイタリア語のセリフでやっている出鱈目さの、リンゴ・キッドを主役にした映画。

しかし原題はジョニー・オロになってるから、このリンゴ・キッドは、実在のジョニー・リンゴではないのかもしれず、その辺もゴッチャになっててややこしい。

マーク・ダモンのキッドは、黄金の銃を持ち、黒ずくめに流し目までする、いかにもイタ公の伊達男という感じだが、しかし、そもそもハナからフランコ・デ・ローサを殺していれば、このお話や抗争自体やる必要のないものである。

終始ニヤついている上に、金にうるさいキッドは、どこかゲームを楽しむようにフランコの報復劇に対峙しているが、町を襲われる住民や保安官からしたらタマったものじゃないだろう。

しかし映画は、そういう迷惑の追求をリンゴに一切せず、ラストでフランコを殺すリンゴを普通にヒーローにして終わる。

マカロニには、主人公が凄惨なリンチを受けるお約束があり、そこから血生臭い復讐をする定番があるが、この映画のリンゴ・キッドは終始キザにニヤついているばかりで、そんなものはなく、なんだか漫画チックで御都合主義な主人公に描かれているように見える。

金のために生きる賞金稼ぎリンゴと、法を守るために生きる保安官の、頑固者同士の生き方の違いを際立たせるところなどはまあまあいいし、銃撃戦もコルブッチらしく中々派手だが、リンゴ・キッドの恋人役のヴァレリア・ファブリッツィより、保安官の妻ジュリア・ルビーニの方が美人だったりするキャスティングがちょっと気になるし、マカロニらしい血生臭さや、エモーションが希薄で、リンゴ・キッドをカッコばかりつけた絵空事のスーパーヒーローにしてしまったがために、映画全体も浮ついて見える。

そうつまらなくもないが、ちょっと軽い出来に思える一篇。 2019/01/22(火) 00:06:42 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『女妖』




三隅研次『女妖』再見、

山本富士子は週刊誌に写真を撮られ、3万円を得る好遇を得たが、何故かお金を貰いに行かなかった。

山本を街で見かけた作家の船越英二は、山本に近づいて仲良くなるが、奔放な山本と遊び歩くうちホテルに入り関係するも、実は山本は…

野添ひとみは旅行中の船越にファンとして声を掛け、いつか手紙を書くと言い、その後船越の元に手紙が届き、船越は野添に会いに行くが、いきなり野添に心中を持ちかけられる。

叶順子はある日、船越が昔付き合っていた女性の娘だと言って現れ、船越が父親だと言い出す。

その女性のことを叶が詳しく知っていたことから、船越は叶を娘と認め、仲良くなるが、叶は母の日記があることを船越に告げる。

そんな折、叶がいきなり盲腸で入院することになる。





西條八十の原作を三隅研次が映画化した作品。

山本富士子、野添ひとみ、叶順子がそれぞれ船越英二の前に現れる3つの挿話を、オムニバス形式で語っている。

山本富士子の挿話は、やたらと山本が前半ハシャギ、船越は押され気味である。

しかし、二人でホテルに入って、船越が迫ると急に山本はしおらしくなり、挙句、酷いことされたとか船越に言うのだが、いやいや、ホテルまでノコノコ着いて来て、そこで無防備にうたた寝してる時点で、そりゃ船越からしたら合意の上だと思うだろという感じだが、その問題は大して広がらず、山本の正体が後に発覚してからドラマが動き出す。

野添ひとみの挿話は、野添が最初から妙に胡散臭く、結局胡散臭い奴なのだが、それに振り回されながらも、誠実に対応する船越の姿を実はメインに描いている。

野添は船越の善意や思いやりを知っても結局、相変わらずの女のままで、いかにも女妖だが、船越の思いやりぐらいは理解出来ているようだ。

叶順子の挿話も、船越の娘だと言う叶がハナから胡散臭いが、しかし船越は、自分に娘がいたことの嬉しさに舞い上がり、叶をとても大事にする。

叶は盲腸で入院することになるが、その後叶の正体が発覚するものの、叶は船越の優しさや人間性に感銘を受けており、黙って船越の前から消える。

叶が消えた後、船越は叶の正体に半ば気がつくが、船越は本当のことなんか別にどうでも良かったようだ。

永井智雄が言うように、船越はきっと虚構の遊戯に最初から気がついていたのだ。

それが嘘であるからこそ、敢えてその虚構に乗り、燃えたのだろう。

三つの挿話のどれも、正体不明の女が船越を巻き込んで、最後に正体が発覚する展開で描かれ、中々スリリングである。

と同時に、三話とも結局、船越英二の思いやりや優しさに三人の女が打たれるヒューマンドラマになっていて、ミステリアスなアバンチュールをヒューマンに描いた、わりと爽やか目の感じの良い映画になっている。

今でも二時間ドラマで、息子船越英一郎と旬な三人の美人女優が絡むオムニバスドラマとかに出来るようなお話だと思う。

船越英二も三人の女優も皆好演している、わりと簡潔でキッチリ作られている、ミステリアスな風味が良い、中々の佳作な一篇。 2019/01/19(土) 01:46:16 大映 トラックバック:0 コメント(-)

『レイク・モンスター 超巨大UMA出現!』




エリック・スタイルズ『レイク・モンスター 超巨大UMA出現!』、

ある日、動物学者のスコット・アドキンスのところに、大手建設企業から調査依頼のオファーがくる。

湖近くの建設現場で、巨大生物に食われたような遺体が見つり、次々と作業員が犠牲になっているとのことだった。

偶然撮影された映像には、全長6メートル超の謎の未確認生物が映っていた。

スコットが現地に向かうと、そこにはすでに敏腕ハンターのドルフ・ラングレンがいたが、ラングレンは、かつてはスコットの探索チームにいた男で、私欲のためなら人も殺す冷酷な奴だった。

その後、未知の生物の棲家を突き止めたスコットは、洞窟に入るが、その背後からはラングレンが手柄を奪おうと迫り、洞窟の中では牙を持つ巨大な怪物が待ち構えていた。





トカゲかワニのデカイ奴みたいなモンスターと対決する映画。

怪物の造形や動きがそんなに悪いわけでもないし、まあまあ生々しさすら感じさせるにも関わらず、お話の展開がつまらない映画である。

パッケージはドルフ・ラングレン主演に見えるが、ラングレンはモンスター映画にはよく出てくる典型的な悪役でしかない。

お話もモンスター映画には極めて有りがちなもので、途中、調査に乗り気になれないスコットを仲間がくだらないことでおだててやる気にさせる場面以外はド定番展開の連続である。

おまけにクライマックスのモンスターとの対決場面では、最後モンスターを生け捕った場面が省略されており、それでハッピーエンドとなるのだが、そんな肝心の場面を省略して、この手のモンスター映画を作ろうとする意義がまるでわからない。

特撮モンスター映画において、最も肝心な場面を省略するくらいなら、何をそこそこ生々しく動くモンスターをわざわざ造形して動かしているのかと言いたくなる。

つまり自分たちがそこそこは頑張ったろう特撮の、その一番の見せ場を省略するという愚劣をしでかしたが為に、まるでつまらない映画になってしまっているし、特撮映画としても中途半端なものにしてしまっているのだ。

最後のラングレンの、モンスターからのやられ方も妙にショボいし、なんともパッとしないモンスター映画の一篇。 2019/01/15(火) 00:11:08 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『内閣特務捜査官 ORDER2』




西岡徳馬『内閣特務捜査官 ORDER2』再見、

日本への密入国や武器密輸、麻薬密輸を防ぐために、影の警察と呼ばれる内閣特別調査室ORDERの班長・西岡徳馬は仲間と謎のルートを探すことになる。

そのために神乃毬絵の店に西岡はピアニストとして潜り込むが、妙に神乃に好意を持たれる。

神乃は麻薬取引に関わっており、西岡らは証拠を掴もうと暗躍するが、ORDERメンバーの一人が組織の宴に歌手として呼ばれている菊地万理江に惚れていて、スタンドプレイに出る。




内閣特別調査室ORDERの活躍を描く、西岡徳馬が製作総指揮、主演のスパイアクション・シリーズの第2作目。

この2作目は西岡が監督までこなしている。

小さな低予算映画だが、隙のない展開で、途中入る西岡と神乃毬絵の濡れ場にすらちゃんとスパイ映画の緊張感があり、中々よく出来ている。

まあアクションシーンは 「MI」シリーズほど派手ではないものの、ORDERメンバーには元タイガーマスク=佐山聡がいるので、格闘シーンなどはちゃんと様になっている。

それに悪女役に神乃毬絵、ORDERメンバーに矢沢美樹(綾部美紀)という、90年代Vシネ系の二大超美女が両方出演しているというキャスティングにも、007シリーズ的なサービス精神があり、これは昔のプログラムピクチャーで言えば、万里昌代と牧紀子が共演しているような得難さであり(かっての東映で言えば、衣麻遼子と昨年亡くなった仁和令子or藤浩子か)あくまで個人的にはとても嬉しいキャスティングである。

まあ神乃も矢沢も、あれだけの超美人で芝居も悪くなく、脱ぎの方もちゃんとしてたのに、意外なほど売れなかったのは残念だったが(だいたい日本の男は、アイドルチックな可愛い系が好きな奴ばっかだからしゃーないが)パッケージには神乃と菊地万理江が出ているが、神乃も矢沢も両方好演している。

西岡徳馬もORDERの班長役に似合い、アクションシーンも悪くなく好演している。

原田大二郎のORDER室長も中々決まっているし、二転三転する展開がフレキシブルに描かれているので飽きずに見られる。

最後、To Be Continuedで終わるものの、続編が作られはしなかったようだ。

それでもこじんまりはしているが、スパイ映画らしく美人女優は揃えているし、アクションも展開もそれなりに面白く見られるスパイ活劇の一篇。 2019/01/12(土) 00:06:20 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『聖域 組長の最も長い一日』




藤原健一『聖域 組長の最も長い一日』、

2011年の冬、組長の山下真司は銃刀法違反で逮捕され、山下は若頭の松村雄基を組長代行に任命し、組を任す。

しかし、これまで組のために体を張ってきた殺陣剛太はそれを不服とし、内部抗争が起き、本家と別の連合とに分裂してしまう。

2017年の夏になり、刑期を終えた山下は出所するが、山下は前々から、出所した日は家族と過ごしたいという手紙を妻の北原佐和子に送っていたため、松村や四方堂亘らはそのために極秘に動く。

だが分派した連合の会長になった殺陣は、山下の復帰により、自らの新連合が崩壊することを危惧して、山下暗殺を目論み、その居場所を探る。

その頃、山下のところに向かっていた長女の葉加瀬マイと本宮泰風は何者かに襲われ、葉加瀬は誘拐される。




ドラマ「スクール・ウォーズ」の出演陣が集まって作られた極道映画。

小沢仁志はVシネ系極道映画では今や主演スターなのに、「スクール・ウォーズ」出演時の時のように、この映画では山下真司や松村雄基の脇に回っている。

四方堂亘や三浦浩一などの「スクール・ウォーズ」組も出演している。

山下の妻役を、昔アイドルだった北原佐和子が演じているのも、気の利いたキャストである。

しかしお話自体は、全ての揉め事が山下真司の独断ゆえに巻き起こる展開である。

まず組のために体を張ってきた格上の殺陣剛太を反故にし、松村を組長代行に山下が大抜擢したがために、殺陣は怒り、組は二分してしまう。

また出所してきたら、今度はさっさと山下が復帰しないがために、新連合の殺陣は山下暗殺を企てるし、山下が急に家族と過ごしたいなどと言い出したがために、ヤクザの父親と今更過ごすことを息子夫婦は嫌々承諾せざるを得なくなり、松村や四方堂は山下の護衛に翻弄される羽目になる。

挙句、葉加瀬マイ誘拐事件まで頻発してしまう。(この誘拐には裏があるが、いずれにしても山下が勝手なことを言い出さなければ起こっていない)

全ては山下の独断と我が儘が問題を巻き起こしているだけの展開で、この山下真司を見ていると、まるで「東大王」で、浅薄な解答を連発してチームにいつも迷惑をかけている山下と大して違わないように見えてくる。(苦笑)

まあどうせ、殺陣ではなく松村に組を任せたことの正しさや、無理にでも家族と過ごそうとした山下の真意は、この後part2で美談的に正当化されるんだろうが、このpart1の段階では、山下の独断と我が儘が全てのトラブルの素となっている展開である。

部屋にラグビーボールが置いてあったりのサービスシーンは挿入しているが、宮田恭男やイソップ役の高野浩和、岡田奈々や岩崎良美、伊藤かずえや梅宮辰夫などの出演はない。

このpart1では、山下組長が”泣き虫組長”な設定でもなく、「スクール・ウォーズ」の露骨なパロディシーンはあまりない。

葉加瀬マイはたまにこの手のVシネ系極道映画に出ているが、いつもはチラッと出ている程度なのに、この映画では親の山下に無視されてきて僻んでいる娘役として、ちゃんとドラマの要になっている。

ちょっと緩めの出来だが、こういう企画ものが作られること自体は、中々楽しくていいなと思わせる一篇。 2019/01/08(火) 00:05:56 その他 トラックバック:0 コメント(-)
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