松尾昭典「私、違っているかしら」、
吉永小百合は孤児院のお姉さん的存在として学生時代世話していたが、就職のためそこを離れる。
その時孤児院から自活しようとする市川好郎に餞別の口紅をもらう。
吉永は学生運動をやっている浜田光夫を尊敬していたが、就職難の時代で仕事はうまくみつからなかった。
だが三島雅夫の紹介である出版社に入るも、三面記事ばかり取材させられた挙句、ある事件の被害者遺族を晒し者にするような出版社の方針に反発して会社を辞める。
母の淡島千景はそんな娘吉永を鷹揚に見つめていた。
森村桂の原作を倉本聰と長広明が脚色した、吉永小百合主演の今の就職難の時代を描いたような作品。
そこにこの60年代半ばの学生運動の影が少し描かれているが、メインは就職難の時代に自分をみつめようともがく吉永の姿を描くことで、それをコミカルかつさっぱりとした快活さで見せている。
吉永のキャラと母淡島のキャラが随分ざっくばらんでバイタリテイ溢れる男っぽさなので、映画自体も就職難の時代を悩みながらもなんとか逞しく生きようとする姿を捉えた喜劇タッチのざっくばらんな映画になっている。
しかしマスコミの暗部に触れる部分には真摯な批判が込められているし、淡島の言う「お金に困ることはあるかもしれないけど、一番大事なことは、いかに自分の生命を大きく伸ばすかということよ」という台詞などがドラマの基本線を顕していて、吉永も最終的に苦悶しつつも快活かつコミカルにそのような方向に向かっていって映画は終わっていく。
後に東映ヤクザ映画でチンピラ役をよくやっていた若き市川好郎が随所に出てきて好演している。
快活でさっぱりしたキャラ設定、テンポのいい面白さの中で、まるで意味深に今のデフレ時代を描いているようで、今見られるべき映画という感じのする作品である。
吉永小百合の代表作と個人的には言いたくなるような秀作な一篇。/span>
この映画の吉永もわりとさっぱりしててよかった
吉永小百合は孤児院のお姉さん的存在として学生時代世話していたが、就職のためそこを離れる。
その時孤児院から自活しようとする市川好郎に餞別の口紅をもらう。
吉永は学生運動をやっている浜田光夫を尊敬していたが、就職難の時代で仕事はうまくみつからなかった。
だが三島雅夫の紹介である出版社に入るも、三面記事ばかり取材させられた挙句、ある事件の被害者遺族を晒し者にするような出版社の方針に反発して会社を辞める。
母の淡島千景はそんな娘吉永を鷹揚に見つめていた。
森村桂の原作を倉本聰と長広明が脚色した、吉永小百合主演の今の就職難の時代を描いたような作品。
そこにこの60年代半ばの学生運動の影が少し描かれているが、メインは就職難の時代に自分をみつめようともがく吉永の姿を描くことで、それをコミカルかつさっぱりとした快活さで見せている。
吉永のキャラと母淡島のキャラが随分ざっくばらんでバイタリテイ溢れる男っぽさなので、映画自体も就職難の時代を悩みながらもなんとか逞しく生きようとする姿を捉えた喜劇タッチのざっくばらんな映画になっている。
しかしマスコミの暗部に触れる部分には真摯な批判が込められているし、淡島の言う「お金に困ることはあるかもしれないけど、一番大事なことは、いかに自分の生命を大きく伸ばすかということよ」という台詞などがドラマの基本線を顕していて、吉永も最終的に苦悶しつつも快活かつコミカルにそのような方向に向かっていって映画は終わっていく。
後に東映ヤクザ映画でチンピラ役をよくやっていた若き市川好郎が随所に出てきて好演している。
快活でさっぱりしたキャラ設定、テンポのいい面白さの中で、まるで意味深に今のデフレ時代を描いているようで、今見られるべき映画という感じのする作品である。
吉永小百合の代表作と個人的には言いたくなるような秀作な一篇。/span>
この映画の吉永もわりとさっぱりしててよかった
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杉江敏男「落語野郎 大馬鹿時代」、
かって空襲から疎開した子供たちがいて、皆でとぼけた授業をやっていた。
20年後そのうちの一人、立川談志は土地開発のブームに乗って、かっての同級生の土地を買い占めようと動き出す。
だが月乃家円鏡も桂米丸も三遊亭歌奴も立ち退きには反対だった。
しかし談志は米丸の祖母に気に入られて土地を売ってもらう。
そのことでかっての同級生は揉め始め、牧伸二と酒井和歌子の恋愛関係も引き裂かれそうになる。
落語家ばかりが総出演の、喜劇映画「落語野郎」シリーズの2作目。
かっての同級生の土地を買い占めようとする役に談志は妙に合っているが、全体的に掛け合いの絡みのように息の合った呼吸で喜劇が展開するところはさすがというほかない。
他に東京ぼん太、てんぷくトリオ、Wけんじなどなど1960年代半ばに人気のあった芸人が一杯出ているが、イチイチ台詞に持ちギャグを入れている。
談志が悪い奴のようでそうでもなく、同級生たちもそれぞれの思惑で右往左往するが、まあ他愛ない展開でなんとか話がまとまって終わっていく。
一作目の江戸時代の話の方がしっくり来た感があるようにも思うが、それぞれの落語家にやはりちゃんと個性が出ているので、ちょっと豪華な喜劇映画な感じは出ている一篇。
かって空襲から疎開した子供たちがいて、皆でとぼけた授業をやっていた。
20年後そのうちの一人、立川談志は土地開発のブームに乗って、かっての同級生の土地を買い占めようと動き出す。
だが月乃家円鏡も桂米丸も三遊亭歌奴も立ち退きには反対だった。
しかし談志は米丸の祖母に気に入られて土地を売ってもらう。
そのことでかっての同級生は揉め始め、牧伸二と酒井和歌子の恋愛関係も引き裂かれそうになる。
落語家ばかりが総出演の、喜劇映画「落語野郎」シリーズの2作目。
かっての同級生の土地を買い占めようとする役に談志は妙に合っているが、全体的に掛け合いの絡みのように息の合った呼吸で喜劇が展開するところはさすがというほかない。
他に東京ぼん太、てんぷくトリオ、Wけんじなどなど1960年代半ばに人気のあった芸人が一杯出ているが、イチイチ台詞に持ちギャグを入れている。
談志が悪い奴のようでそうでもなく、同級生たちもそれぞれの思惑で右往左往するが、まあ他愛ない展開でなんとか話がまとまって終わっていく。
一作目の江戸時代の話の方がしっくり来た感があるようにも思うが、それぞれの落語家にやはりちゃんと個性が出ているので、ちょっと豪華な喜劇映画な感じは出ている一篇。
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小杉勇「刑事物語 部長刑事を追え!」、
青山恭二の部長刑事は父の刑事・益田喜頓が酔っ払って、やっぱり安月給の刑事はつらい、結局金がものを言う、と言った後、海外タレントのプロモーターをやっている学友の伊藤孝雄の世話になろうと辞表を出す。
益田は金のために刑事を辞めるなんてと息子に怒るが、その後青山は伊藤に頼まれた仕事に行って殺人容疑者になってしまう。
息子が犯人である証拠が続々と出ることに益田は悲しみながら、辞表を出して息子を捕まえようとする。
刑事物語シリーズの一作。
シリーズ中では中々の異色作で、いつもは仲良く一緒に捜査している益田と青山親子が、刑事と容疑者の立場に別れてしまい、父・益田は辞表を出して息子を捕まえようとする展開である。
しかしこれには裏があって、最終的には親子刑事もの的終わり方をするのだが、その裏というかオチをなんとか気ずかれないように描いていて、ここでは主役の語り部的な益田すら騙されているので、映画自体は悲壮な感じで描かれていく。
とは言え、まあだいたいオチはハナからどーせそうじゃないの・・と察しがつくと言えばついたのだが、それにしても最後まで、容疑者となったシリーズ主役の息子刑事を追う老刑事という図式は随分長く描かれているので、多少醍醐味のある映画にはなっている。
伊藤孝雄はここではやり手の悪党を演じ、楠侑子はお得意の悪女を演じている。
ちょっと趣向を凝らした映画にはなっている一篇。
青山恭二の部長刑事は父の刑事・益田喜頓が酔っ払って、やっぱり安月給の刑事はつらい、結局金がものを言う、と言った後、海外タレントのプロモーターをやっている学友の伊藤孝雄の世話になろうと辞表を出す。
益田は金のために刑事を辞めるなんてと息子に怒るが、その後青山は伊藤に頼まれた仕事に行って殺人容疑者になってしまう。
息子が犯人である証拠が続々と出ることに益田は悲しみながら、辞表を出して息子を捕まえようとする。
刑事物語シリーズの一作。
シリーズ中では中々の異色作で、いつもは仲良く一緒に捜査している益田と青山親子が、刑事と容疑者の立場に別れてしまい、父・益田は辞表を出して息子を捕まえようとする展開である。
しかしこれには裏があって、最終的には親子刑事もの的終わり方をするのだが、その裏というかオチをなんとか気ずかれないように描いていて、ここでは主役の語り部的な益田すら騙されているので、映画自体は悲壮な感じで描かれていく。
とは言え、まあだいたいオチはハナからどーせそうじゃないの・・と察しがつくと言えばついたのだが、それにしても最後まで、容疑者となったシリーズ主役の息子刑事を追う老刑事という図式は随分長く描かれているので、多少醍醐味のある映画にはなっている。
伊藤孝雄はここではやり手の悪党を演じ、楠侑子はお得意の悪女を演じている。
ちょっと趣向を凝らした映画にはなっている一篇。
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小杉勇「刑事物語 ジャズは狂っちゃいねえ」、
ジャズバンドの伊藤孝雄は麻薬に手を出していたが弟のボーヤがなんとかヤクを止めさせようとして、伊藤に寄ってきた売人を殺してしまう。
だがすぐに組織の佐野浅夫にバレ、伊藤の弟は殺される。
益田喜頓と青山恭二の親子刑事は捜査を続け、青山はかって伊藤とジャズバンドを組んでトロンボーンを吹いていた経験を生かしてジャズミュージシャンの世界に潜入捜査する。
刑事物語シリーズの一作。
青山の息子はどんどん出世してるようだが、古参刑事の父・益田と一緒に捜査している。
徐々に状況や人間関係が露わになっていくが、それほどサスペンス豊かな感じではなく、殺人の犯人がハナからわかっているので謎解き的魅力も薄く、まあわりとシンプルな犯罪映画といった感じである。
しかしヤクチューのジャズミュージシャン役に伊藤孝雄がよく似合い、白木秀雄クインテッドが出演して演奏するジャズも決まっているし、悪女役の楠侑子もイタリア系悪女のような相貌が役にピッタリでキャストは悪くない。
ジャズは狂っちゃいねえとサブタイトルにあるように狂っているのはジャズではなく、あくまでヤクチューであり、麻薬組織壊滅がメインの内容である。
シンプルだが随所に小さな魅力はある刑事映画の一篇。
ジャズバンドの伊藤孝雄は麻薬に手を出していたが弟のボーヤがなんとかヤクを止めさせようとして、伊藤に寄ってきた売人を殺してしまう。
だがすぐに組織の佐野浅夫にバレ、伊藤の弟は殺される。
益田喜頓と青山恭二の親子刑事は捜査を続け、青山はかって伊藤とジャズバンドを組んでトロンボーンを吹いていた経験を生かしてジャズミュージシャンの世界に潜入捜査する。
刑事物語シリーズの一作。
青山の息子はどんどん出世してるようだが、古参刑事の父・益田と一緒に捜査している。
徐々に状況や人間関係が露わになっていくが、それほどサスペンス豊かな感じではなく、殺人の犯人がハナからわかっているので謎解き的魅力も薄く、まあわりとシンプルな犯罪映画といった感じである。
しかしヤクチューのジャズミュージシャン役に伊藤孝雄がよく似合い、白木秀雄クインテッドが出演して演奏するジャズも決まっているし、悪女役の楠侑子もイタリア系悪女のような相貌が役にピッタリでキャストは悪くない。
ジャズは狂っちゃいねえとサブタイトルにあるように狂っているのはジャズではなく、あくまでヤクチューであり、麻薬組織壊滅がメインの内容である。
シンプルだが随所に小さな魅力はある刑事映画の一篇。
![]() | おやこ刑事 狙撃編 (IDコミックス) (2008/09/25) 大島 やすいち 詳細を見る |
舛田利雄「血斗」再見、
高橋英樹はかっては血気盛んなヤクザだったが、船大工のカタギになってからは町に入り込んできた愚連隊ヤクザ集団の横暴にも知らん顔していた。
かっての組の娘・松尾嘉代が襲われても自分を代わりに殴れと身を差し出すようになっていた。
だがある時船大工の兄貴分が殺されてから、とうとう高橋は愚連隊征伐に乗り出し、かっていた組の殴りこみ前に一人で殴りこむ。
そこで流れ者の小林旭が助太刀してくれ、安部徹の愚連隊ヤクザ親子を追い出すところまで行くが、安部の息子・市川好郎を人質に取ったものの安部の一家は約束を破って帰って来て組を絶滅させてしまう。
池上金男(池宮影一郎)、舛田利雄脚本の中々異色な日活ヤクザ映画。
主役はあくまで高橋ではなく、小林旭となっているが、この旭は金で動く流れ者で、それ故に安部の一家が約束を破って高橋の元いた組を絶滅させても、安部に金を貰って組長惨殺を黙殺していたりする。
おまけに主役のくせに最後のクライマックスまではトボけた流れ者のヒモ稼業で生きていて、全く主役らしくない。
どう見ても高橋英樹主演だろと思えるのだが、しかしラストはやはり旭が主役っぽくなる構成である。
悪役の安部徹一家もやたらに凶暴で非情な悪役一家なようで、息子の青木義郎らはお父さん思いの子供らで、安部は妙に根性が座っていて途中殴りこんできた高橋に自らの首を差し出したりしている。
そこで安部は、出入りの最中なのに息子らに男の根性について説教を始める始末で(苦笑)、この悪役が妙にコミカルだったりする。
それでこいつら憎めない悪役なのかと思いきや、後半はさらなる非情な悪役と化し、町を乗っ取り、高橋の彼女の松尾を妾にして奪い、絶望の淵に追いやってしまうのだから何とも蛇行したキャラ設定と展開である。
終盤の旭と淫売宿に堕ちた松尾の再会シーンは急に暗いノワールチックな場面となるし、その後の展開も真面目にやってるんだかふざけてるんだか不明な奇妙な展開となる。
旭も最後こそ主役っぽくなるが、結局ラスボス・安部は殺せず、西部劇のようなサントラが流れる中、高橋も旭もそれぞれの彼女と逃げて映画は終わりである。
ラストに歌舞伎チックな見得を切ったりするところは鈴木清順っぽいし、展開や悪役のキャラ設定や青木義郎の腕が叩き斬られるシーンなどは石井輝男や後の三池崇史映画のようである。
サントラが西部劇風で悪役の衣装も旭の衣装も西部劇風、それで任侠ヤクザ映画をやっているところも日活無国籍感全開で、これは中々キッチュで外しに外しまくった変な捻り具合が面白い一篇。
高橋英樹はかっては血気盛んなヤクザだったが、船大工のカタギになってからは町に入り込んできた愚連隊ヤクザ集団の横暴にも知らん顔していた。
かっての組の娘・松尾嘉代が襲われても自分を代わりに殴れと身を差し出すようになっていた。
だがある時船大工の兄貴分が殺されてから、とうとう高橋は愚連隊征伐に乗り出し、かっていた組の殴りこみ前に一人で殴りこむ。
そこで流れ者の小林旭が助太刀してくれ、安部徹の愚連隊ヤクザ親子を追い出すところまで行くが、安部の息子・市川好郎を人質に取ったものの安部の一家は約束を破って帰って来て組を絶滅させてしまう。
池上金男(池宮影一郎)、舛田利雄脚本の中々異色な日活ヤクザ映画。
主役はあくまで高橋ではなく、小林旭となっているが、この旭は金で動く流れ者で、それ故に安部の一家が約束を破って高橋の元いた組を絶滅させても、安部に金を貰って組長惨殺を黙殺していたりする。
おまけに主役のくせに最後のクライマックスまではトボけた流れ者のヒモ稼業で生きていて、全く主役らしくない。
どう見ても高橋英樹主演だろと思えるのだが、しかしラストはやはり旭が主役っぽくなる構成である。
悪役の安部徹一家もやたらに凶暴で非情な悪役一家なようで、息子の青木義郎らはお父さん思いの子供らで、安部は妙に根性が座っていて途中殴りこんできた高橋に自らの首を差し出したりしている。
そこで安部は、出入りの最中なのに息子らに男の根性について説教を始める始末で(苦笑)、この悪役が妙にコミカルだったりする。
それでこいつら憎めない悪役なのかと思いきや、後半はさらなる非情な悪役と化し、町を乗っ取り、高橋の彼女の松尾を妾にして奪い、絶望の淵に追いやってしまうのだから何とも蛇行したキャラ設定と展開である。
終盤の旭と淫売宿に堕ちた松尾の再会シーンは急に暗いノワールチックな場面となるし、その後の展開も真面目にやってるんだかふざけてるんだか不明な奇妙な展開となる。
旭も最後こそ主役っぽくなるが、結局ラスボス・安部は殺せず、西部劇のようなサントラが流れる中、高橋も旭もそれぞれの彼女と逃げて映画は終わりである。
ラストに歌舞伎チックな見得を切ったりするところは鈴木清順っぽいし、展開や悪役のキャラ設定や青木義郎の腕が叩き斬られるシーンなどは石井輝男や後の三池崇史映画のようである。
サントラが西部劇風で悪役の衣装も旭の衣装も西部劇風、それで任侠ヤクザ映画をやっているところも日活無国籍感全開で、これは中々キッチュで外しに外しまくった変な捻り具合が面白い一篇。
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